学会出張レポート
どうもこんにちは。ひよこてんぷらです。今回は初めて学会で出張に行きましたので、その頃の新鮮な気持ちをレポートとして残しておきたいと思います。
前回は研究出張で仙台の東北大学へ出張しました。
これは自分自身が招待されて講演の目的で出張したわけですが、今回の学会はまた異なるタイプの出張になります。
というのは、今回の出張は学会だからです。前回は東北大学へ出張したのは私のみで、講演したのは私だけでした。講演を聞いていただいたのは東北大学の学生などの研究者が合計で10名ほどという感じです。その節は大変お世話になりました。
さて、一方で学会は全国各地の研究者がすべて一か所に集まるわけです。したがって研究集会としては規模が最大級ということになります。学会で講演する目的での出張ももちろんですが、単に他の研究者の講演を聞きに行くというだけの目的でもたくさんの方が出張されます。なお、学会は4日間にわたり連続で行われ、朝の9:00から10:00くらいに開始し、夕方17:00から18:00くらいに終了といった感じです。途中でお昼の休憩はありますが、かなり長時間の集会になります。また、全員が同じ講演を聞くわけではなく、同時刻に並行して別会場でたくさんの講演が行われます。この中で自身の興味のある講演を聞くということになります。なんだかこう聞くとロックのフェスティバルみたいですね。
さて、ちなみに私自身は今回が初めての対面での学会講演となります。以前学会で講演はしたのですが、その際は感染症などの問題もありZoomを用いたオンラインでの集会でしたので、実質的には初めての学会参加ということになります。
初めに学会は4日間にわたって行われると書きましたが、今回自分はそのうちの2日間のみに参加しました。初めての学会参加&講演ですから、体力に自信のない自分にはこのくらいが限度だろう、という判断です。実際めちゃくちゃ疲れましたので、この判断は正しかったと思います。
なお、今回は「学会出張レポート」ということですが、学会に参加した感想や講演のドキドキはもちろん、なにせ学会の会場が北海道大学でしたから、いろいろと思い出深い出張になりました。そちらのお話もしたいですね。
なお補足として、この最大規模の学会は年に2回、春季と夏季にあります。このうち春季は首都圏の大学で行われ、夏季は地方の大学で行われるようです。今回はその中で北海道大学が選ばれたということですね。ちなみに自分は北海道は初めてでしたので、とても新鮮な気持ちで学会に参加できました。
さて、そろそろ本題に入っていきましょう。
前回の東北大学への出張もそうですが、今回の出張でももちろん事前に申請が必要です。ここで前回の場合と違うのは、移動手段に飛行機が含まれる点ですね。飛行機の場合は証憑として搭乗券が必要とのことですので、これはしっかり保管しておきましょう。
なお、北海道大学は札幌駅近くにありますので、札幌駅近くのホテルを取りました。先ほど学会は2日間のみの参加と書きましたが、学会が朝から晩まであることに加えて移動にもそれなりの時間がかかるので、移動だけで1日必要とカウントします。つまり3泊4日ということですね。また、これは後で分かることなのですが、北海道大学はめっちゃでかくて札幌駅近くといっても会場まではけっこう時間がかかります。これは油断しましたね。とはいえ全然歩ける範囲ではある(徒歩20分から25分程度)ので、そこまで後悔はしていません。
また注意として、前回の東北大学への出張は自分のみが出張したわけですが、学会はたくさんの研究者が出張するわけです。なので当然付近のホテルはたくさん予約されてしまいます。そういうわけで、割とホテルは早めに押さえたほうがいいです。とはいえ、自分は今回も感染症の件で対面開催が半信半疑だったので、ホテルを予約したのはけっこう遅いほうでした。まあ無事に予約できてよかったです。
あともうひとつ自分の経験値不足だったのが、飛行機での搭乗手続きです。飛行機の出発時間の90分から120分前くらいに空港付近にいるのがいいようですが、自分は30分くらい前にいればいいだろうと油断してしまっていました。なので行きは昼過ぎくらいの飛行機を予約して昼くらいに自宅を出発するつもりでしたが、結局当日は朝から出発することになりました。まあ普段自分は寝坊してばかりなので、昼くらいに出発するという当初の予定が不幸中の幸いでしたね。もし初めから朝出発する予定だったら、もっと早朝に出発するところでした……
さて、飛行機の搭乗前に手荷物を預けます。その後は持ち込み荷物などの検査を通じて、搭乗ロビーで待ちます。自分はけっこう飛行機がニガテなのでドキドキしていましたが、まあさすがに国内だとあっという間に到着でしたね。ちなみに飛行機内にはカツサンドを持ち込みました。これで学会講演でも勝利を収めます。
到着は新千歳空港です。ここからホテルや北海道大学のある札幌駅には、快速エアポートという電車で向かいます。ここで若干ビビってしまったのが、車内のアナウンスです。乗車券を拝見する的なことが聞こえたので、「もしかしてこれって特急券ないとダメなやつ?」と思いましたが、これは大丈夫でした。しかし自由席と指定席は別にあるようなので、そこは注意が必要です。なのでおそらく指定席に関するアナウンスだったのでしょう。なお、乗車時間は片道40分ほどで、1150円です。まあまあ高いな……
無事に札幌駅に到着しますと、さっそくホテルを探します。このときは夕方の17:00くらいでした。とりあえず着替えなどをおきたいのでホテルに一直線といきたかったのですが、自分が方向オンチなせいでけっこう時間がかかってしまいました。おかしいな、札幌駅すぐのホテルなのに……なんとかホテルにつきましたが、明日までには時間があるので、少し札幌駅付近を散策します。そういえば札幌駅の写真を撮ってなかったなと思い、だいぶ暗いですがパシャリ。
あとやはり北海道は冷えますね(最高気温22度、最低気温10度程度)。この時期の関東圏はなかなかの暑さですが、さすが北海道、涼しいどころかむしろ寒い。まあ夕方だったというのもありますが……
寒いのと暗いのとで外の散策は早々に切り上げ、何か建物に入ろうと札幌駅のビルに入りました。適当にエスカレーターに乗りますが、オシャレなファッションコーナーばかり……これは場違いやと思っていたところ、無印良品を発見。ふらっと立ち寄ると、いい感じのズボンがあったので、買いました。自分はウエストのサイズの問題でなかなかズボンを買うことができないので、せっかくだしと軽く試着して購入。さっそくその後の学会で役立ちました。なお、帰りで荷物が増えてバッグが閉まらなくなるのはまた後のお話……
さて、ホテルへの帰りに晩ご飯は何にしようかなと一直線に向かったのは、近くのコンビニです。何かご当地モノはないかと物色しましたが、なんとコンビニのおにぎりや弁当のお米が北海道産ということで、すでにご当地色が満載でした。あとは北海道限定っぽい炭酸飲料「リボンナポリン」も買いました。そして北海道産のメロンジュースも買いました。しかし、購入時は気づかなかったのですが、これお酒や!!自分はお酒弱いのですが、まあ3%だったのでなんとか飲めました。なんだか出張に来てさっそく酒飲んで寝るって、なんかこう自由人みたいになってしまいました。
翌日。前日の移動を1日目とカウントして、今日は2日目です。学会に向かうべく眠い目をこすりながら着替えます。昨日のコンビニで朝ご飯用のおにぎりを買っておいたのでとりあえず流し込みホテルを出ます。学会開始の30分から40分くらい前に出たので、時間も余裕でバッチリです。
……と思ったらさっそくやらかしました。北海道大学がデカすぎたのです。とりあえず北海道大学をGoogle Mapで調べて向かうわけですが、デカすぎてよくわからない。方角は合っているはずと進むと、途中でスーツ姿の方を発見。これはついていけばOKだ!!と思い、ついていった先は大学ではないなんかよくわからない会場だった!!どうも学会員ではなかったようです。あれま。
ということで再び地図を確認。方角は間違っていないので仕切り直しをしたのはいいですが、まったく大学に入れない。いくら大学の近くにいても、入り口に行けないと意味がない!!がんばって地図を見ますが、いつまでたっても大学の敷地の境界線上に沿って進むばかり。やっとの思いで大学構内に入れましたが、これで終わりではありませんでした。
大学構内に入っても迷宮のような広さで、まったく会場がわかりませんでした。てっきり大学に行けば「会場はこちら→」的なのがあるとばかり思いこんで事前調査を怠った自分の問題でしたね。まあとりあえず理学部を目指そうと地図を調べると、理学部は遠い!!この時点であと10分ほどで開始してしまうので、早歩きで理学部の棟へ。やっとの思いで到着するも、まったく会場の気配なし。なんで!?と思い調べると、どうも会場は理学部ではなかったのでした。さらにその奥のところであり、結局は札幌駅の方面と真逆でした。わお。
どうも後で聞いたところによるとその会場の最寄り駅は札幌駅ではなく別の地下鉄の駅だったようです。まあしかしこれは事前にルートを調べれば全然歩いても問題はないので、単に調べずに道に迷ったのが敗因でしたね。
そういうわけで早めに出たつもりでしたが10分ほど遅刻してしまいました……翌日の3日目はその反省を生かし、ほぼ同じ時間に出発しましたが普通に余裕で間に合いました。なお、翌日は歩きながら少し大学構内も撮ったので、お見せしましょう。
この生い茂った草木を見ればわかるかとは思いますが、いやはや本当に大学というよりも「整備された森」という感じですね。写真だけでは広さは伝わりづらいですが、本当にデカいです。ちなみに歩いている途中にリスもいました。すごい。また、今回は夏季の学会ということでしたが、やはり冬季だと雪が積もるのでしょう。真っ白なキャンパスもそれはそれで見てみたいですが、歩きづらいのは勘弁ですね。
さて、話を戻して学会ですが、2日目は講演はないので単に他の研究者の講演を聞くという感じです。とはいえ、実際のところは講演を聞くことよりも対面での学会の雰囲気を確かめておきたいというのが本音ではありますが……
やはりけっこう人数は多かったですね。明日はこの人数を相手に講演するのかぁ……とかなり緊張しました。服装に関してはまちまちですが、やはり相応の恰好が安全です。自分が講演の時はスーツで、それ以外でもまあフォーマルな感じの私服がいいですかね。もちろん規則はないのでなんでもいいとは思いますが、最大規模の研究集会ですから、ここで悪目立ちするというのは極力避けたいです。多少硬すぎるくらいの感じがいいかなと個人的には思いました。
そういうわけで、とりあえず2日目の様子見は終了しました。その後は大体仲のいい研究者同士、あるいは初めて会う研究者との親睦を深めるタイムです。わりと見た感じの印象としては、もちろん学会での講演も大事ですが、講演できる時間はほんのわずかでしかないので、その後にどの程度関係を深められるかのほうが重要そうです。特に今回の講演時間は極めて短かったです。原因はやはり感染症での影響で、今回の対面での学会を心待ちにしている研究者が多かったというところでしょうか。ですから、正直なところとしては、初めて聞く講演でかつ専門とずれるような研究内容だと全く理解できません。学会の正しいあり方は、「講演内容はよく分からなかったけど、興味がわいたのでもう少し話をしてみたいと思った」というきっかけを作る場ということなのでしょう。そういう意味だと、学会をオンラインでやるというのはあまり意味がないという気持ちも分かるような気がします。
なお、2日目の夜は学会の開催前から小規模の食事会に呼ばれていましたので、そこに参加しました。偉い先生方がたくさんいらっしゃいました。自分は明日に講演を控えていることもあり、22:00くらいにはその場を後にしてホテルに戻りました。いやはや2日目の時点でだいぶ疲れてしまいましたね。就寝。
続いて3日目です。3日目は2日目に比べてだいぶ緊張感が高まっていました。それはもちろん、今日が自分の講演日だからです。しかしまあ講演さえ終われば心置きなく他の方たちと親睦を深められるぞ!!となんとか自分を奮い立たせました。
講演は無事に終了したとは思うのですが、自分の講演中は本当に緊張していたのでどんな感じだったかは覚えていません。頭が真っ白な状態でも口だけはパクパク動かせるようにシミュレーションをしたので、とりあえずつっかえることなく話すべきことは話せたと思います。たぶん……それと、今回の講演時間は本当に短かったので事前のシミュレーションでは講演時間ギリギリで、当日もそれが不安でしたが、結局は緊張のせいでだいぶ早口になり時間は大丈夫そうでした。よかった……のかな??
自分の講演さえ終わってしまえばあとはこっちのもんですね。終わりまでニコニコしながら他の方の講演を聞いていました。そして3日目の夜は予定はなかったので、いつもお世話になっている先輩方や研究分野の近い方たちと小規模の食事会をしました。いやぁ、やはり自分の講演が終わった日のご飯は最高においしいですね。まあ小食なのでご飯がおいしいというよりもとても楽しかったなぁという感じが正しいでしょうか。
ちなみに自分はあまり詳しくないのですが、どうも札幌駅よりもすすきの駅周辺の方が飲食店は多いらしいですね。なお、札幌駅→大通駅→すすきの駅と2駅分しかないのでそこまで距離はありません。2日目は札幌駅周辺の店でしたので、すすきの駅周辺は3日目で初めて歩きました。これも写真があります。
なんだかこう見ると普通に都会な感じですよね。先ほどの北海道大学での様子とは大きく違います。前回の東北大学への出張でもそうでしたが、キャンパスは広くて自然豊かなのに少し移動すればしっかり開発された都市にも行けるという、いろいろといいとこ取りな環境です。ちなみに有名なすすきのビルもあります。
とはいえ実は自分はこのすすきのビルが有名なものとは知りませんでした。移動中に先輩に「これ有名なやつだよ~」と言われたので急いでカメラを構えました。それで後ほどすすきのについて調べてみると、確かにすごいところらしいですね。「日本三大歓楽街」と呼ばれているところらしいです。ちなみに残りは新宿歌舞伎町と福岡中洲らしいです。あとは福岡中洲に行けばコンプリートです。
とりあえず一旦牛角に入って乾杯をし、そこで少し腹ごしらえをしながら周辺のお店を検討することにしました。結局2軒目は海鮮系のところでした。盛り上がっていたので少ししか写真を撮っていませんでしたが、こんな感じです。
楽しかったです。学会が終わってからゆっくりと移動したので、食事会が始まったのは20:00過ぎくらいだったでしょうか。そこから23:30過ぎくらいまではお店にいた気がします。そこで解散して自分は札幌駅のホテルに向かいましたが、どうもそのまま3軒目に向かったメンバーもいたようです。さすがの体力ですね。あとから聞いた話ですが、残りのメンバーは4:00くらいまでお店にいたそうです。さすがの体力ですね。
疲れたし、ホテルについたらすぐに就寝!!といいたいところですが、そうもいかないので、軽くシャワーを浴びて汗を流し、明日の準備も済ませます。明日は4日目でもう帰るだけですが、チェックアウトがあるので先にすべての荷物をまとめておきます。とにかく明日はギリギリまで寝て起きたらすぐに出れるようにしておこう、という算段です。
初めにも書きましたが、無印良品で買ったズボンを新たにバッグに入れたので、なかなか荷物をまとめるのに苦労しました。行きの時点でけっこうパンパン状態だったので限界でしたね。お土産は大丈夫なのかというと、お土産用のマイバッグを持参していたので大丈夫です。おやすみなさい。
さて、4日目です。ギリギリまで寝ても大丈夫なように準備していたのですが、結局2日目と3日目の学会で矯正されたのと、やはり自宅でないので小刻みに目が覚めてしまうのとで割と早めに起きました。起きたらホテルを出て札幌駅のお土産コーナーで適当にいろいろと放り込んで、快速エアポートで新千歳空港へ。飛行機で出発する前に一人でそばと天ぷらを食べました。
行きで飛行機に乗ったので帰りは多少は気持ちに余裕がありましたが、やはり4日目ともなればだいぶ体は疲れていました。ふう。
後は帰るだけということで、学会出張レポートはこのくらいにしておきましょう。まあとにかくいろいろといい経験になったと思います。何事も経験ですね。とりあえず学会の雰囲気はつかめたので、少しずつ慣れていきたいと思います。しかしまあ何度学会に行ったとしても、やはり自分の講演前に緊張してしまうのは変わらないだろうなぁと思います。後は出張先でもしっかりと寝られるようになりたいですね。大体寝ても2時間おきくらいには目が覚めてしまうので、なんとかしたいものです。これこそ慣れでしょうか。そして最後の食事会は本当に楽しかったので、またいつか皆さんともお会いしたいですね。
それでは以上で終わりたいと思います。今後もよろしくお願いします。
研究出張レポート
みなさんこんにちは。ひよこてんぷらです。
実に半年ぶりの更新ということで、長らく記事を書いていませんでした。ここ半年はけっこう忙しかったです。まあ、以前も同じようなことを言っていましたが……
基本的に、ブログには研究をするために勉強した既知の事実をまとめていたのですが、最近は勉強と研究の境目があいまいなので、ブログに書けるようなことが少なかったわけですね。勉強をしていたらいつの間にか論文になっていた、みたいな……
そういうわけで、一応ブログを更新しなかった半年間もせっせと論文を書いていました。決してサボりではありません。
さて、では今回の内容は何かというと、実は自身の研究費を使って出張に行ってきましたので、そのことについていくつか振り返っていきたいと思います。
まずは研究費を使って出張をする方法からいきましょう。必要なのは移動手段と宿泊地の決定です。これらを決めたのち、事前に出張の申請を行います。今回は東北大学へ出張しましたので、新幹線を使って仙台駅に向かいます。また、適当に駅近くの宿泊地をリサーチします。そして申請について、これは研究機関によって異なるそうですが、移動手段に関しては事前に調べた経路を入力してその実費を研究費から支出します。また宿泊地に関しては、今回は実費でなく規定上限額としました。実費の場合は領収書などの準備や手続きが必要ですが、規定上限額では一定の額を研究費から出し、そこから自身で支払うという方式です。こちらは領収書などは必要ないのでらくちんです。なお、規定上限額は1日で13,000円です。これだけあれば十分ですね。また、日当は1日で2,500円が支出できます。これを昼食や夕食などに充てるということです。以上の申請を事前に行い、申請が認められれば準備は完了です。
もちろんですが、事前に宿泊地の予約をする必要がありますね。規定上限額の場合は自分で勝手に予約して大丈夫です。後から自身の口座に規定額が入金されるはずです。新幹線に関しては当日に切符を購入してもよいですが、今回は初めての出張だったので、事前に切符も購入しました。ちなみに、仙台駅へは東北新幹線を使うわけですが、最も移動時間の短いはやぶさは全席指定だそうです。とはいえ指定席だと乗車時間も固定されてしまいますので、それは嫌だなあと思い、自由席のあるやまびこを選びました。やはり時間は自由に選びたいですよね。たぶん自分があまりに新幹線を使わないからだと思いますが、備忘録として書いておくと切符は複数枚あります。通常の電車の切符と同様の意味を持つ切符と、新幹線用の切符、いわゆる特急券というやつです。通常の切符に関しては特定の区間内であれば自由に使えます(もちろん定期のように何度も出入りできるわけではないですが)。新幹線を使わない区間に関しても通常の切符で入場し、新幹線を使う区間で通常の切符と特急券の2枚を入れる感じです。このとき切符は2枚とも出てきます。新幹線を降りた後は通常の切符と特急券の2枚を入れて終了です(切符は改札に2枚とも吸い込まれます)。なお、さらに通常の電車で移動を続ける場合は通常の切符でそのまま移動できます。
さて、これで出張の準備は完了です。出張の理由は人それぞれだと思いますが、今回は東北大学で講演をするということでした。ちなみに講演時間は2時間です。長いですね。しかも黒板に書くタイプの発表です。自分はかなり字が汚いという自覚があるので、いろいろとやばかったです。事前に先輩が練習に付き添ってくださいましたので、大変感謝しています。ありがとうございます。
さて、ここからは実際に出張してみたレポートですが、とてもいい経験になりました。とりあえず行きの新幹線ですが、自由席でも全く混雑していなかったので、快適に現地に向かうことができました。周りはやはり出張サラリーマン、他には旅行目的らしき家族連れやご年配といった感じでした。周りからは自分はどう見られていたでしょうか。大学生の一人旅という感じでしょうかね。事前に購入したタマゴサンドイッチをゆっくり食べながら移動しました。なお、講演前ということでかなり緊張していましたので、サンドイッチはちょっと残しました。というか、残しても大丈夫なようにお弁当ではなくサンドイッチにしたわけですが。
仙台駅について外に出ましたが、やはりさすが地方都市です。めちゃくちゃ開発されていたので、都市近郊(?)に住んでいる自身の周りの環境よりもよっぽどすごかったです。なので新幹線で長距離移動したという感覚があまりなかったですね。普通に都内のどこかと言われてもそうだねと相槌してしまうような感じでした。このときは午後の3時前くらいです。
今回は仙台駅付近に宿泊することにしましたので、大学へ向かう前にチェックインして荷物を置きました。残したサンドイッチは冷蔵庫にて保管します。あとで食べましょう。宿泊地で高鳴る鼓動(緊張)を抑えつつ、ゆっくりと深呼吸をします。ちなみに、先輩のアドバイスで宿泊地は禁煙のところを選びました。喫煙可能な場合だと煙臭くてしんどいらしいです。宿泊地は自分にとっては十分な環境でしたので、よかったなと思っています。
しかしまだチェックインしただけですので、これから大学に向かわなければなりません。再び仙台駅に向かい、地下鉄で大学の最寄駅に行きます。なお、東北大学はキャンパスがとても広いので(都内の大学と比較したら当たり前ですかね)、事前に連絡して駅から迎えに来ていただきました。いやはや、講演のセッティングまでしていただいてそのうえ迎えにも来ていただいて、本当にありがとうございます……
やはり実際に迎えに来ていただいたのは大正解でして、キャンパスがとても広かったので目的地までは案内が必要でしたね。なお、仙台駅から10分ほど地下鉄に乗るだけで到着するのですが、10分間で風景はガラリと変わります。とても緑が豊かです。猪も出るらしいです。本当なら何か写真をお見せしたいのですが、いかんせん講演前でだいぶ緊張していましたので、このときは何も記録がありませんね……
実際に会場入りしたのは講演の1時間近く前でしたかね。少し早いかなとも思いましたが、宿泊地にずっといるだけというのも何かもやもやしますし、思い切って先に会場に向かいました。そのときはだいぶ緊張していましたので、心拍数は160くらいだったでしょうか。かなり気温が高かった(35度……猛暑というやつですね)ということもあり、講演前から汗びっしょりでした。もちろんこの時点ではほとんど誰もいませんでしたが、講演時間が近づくにつれて徐々にメンバーが集まってきました。しかしまあ、わざわざ週末の夕方によくわからない人の話を2時間も聞いてくださるなんて、大変恐縮でしたね……
講演の内容としては、できるだけ新鮮なお話をしたほうがよいかと思い、現在投稿中の論文の内容をまとめたものにしました。2時間も話すとなると相当長いようには感じますが、黒板に書きながらだと案外時間がかかるので、要点をかいつまんでギリギリ2時間という感じです。何とかやりきりました。講演中も質問が来たりしまして、合計で5回以上は質問されたような気がします。いやしかしよくこんな質問が来るよなあとびっくりしました。どれも講演の内容に本質的にかかわってくるような鋭い指摘が多かったもので、皆さんが自分の話を熱心に聞いてくださっているんだなという実感がわきました。実際、これまでは新型コロナウイルスの影響もありオンライン上での発表が基本で、自分の話は誰が聞いているのかなぁなんて思いながらパソコン相手に一人語りという感じでしたから、今回はみなさんの熱い視線を感じながらの講演でした。改めて、今回は自分の長話に2時間も付き合っていただいてありがとうございました。
ちなみに、講演が終わってからそういえば東北大学のキャンパスを撮っていないなと気付きました。しかし講演が終わって夕方の7時くらいになってしまっていたので、だいぶあたりは暗かったです。唯一撮れたのはこれですね。
さて、これで無事に講演は終わりで、本来ならば今回の参加者全員で懇親会をやるという流れになっているようですが、やはり新型コロナウイルスの関係上で懇親会は断念することになりました。まあこれは事前に聞いていたことですのでしょうがないです。それにぶっちゃけ暑いのと緊張で全身汗びっしょりだったので、急いでシャワーを浴びたい気分でした。ですので結果的にこの選択は正解でした。
とはいえさすがに懇親会をしないというのも申し訳ないということで、オンライン上の懇親会を企画していただきました。とりあえず自分は急いで仙台駅に向かい、宿泊地に戻る前にコンビニに寄り夕食などを調達しました。今日はお疲れ様ということでプシュッとお酒でも飲もうかと思いましたが、初めての出張でしたので粗相しないように冷たいお茶にしました。ささっとシャワーを浴びてすっきりし、パソコンを開いて懇親会をやりました。開始は夜の8時30分くらいでしたが、たぶん12時近くまで話し込んでいたと思います。わざわざ自分のためにいろいろと準備してくださって本当にありがとうございます。
これでとりあえずほっと一息ついて就寝ということですが、実際にはこれだけでほっとすることはできません。というのは、翌日のチェックアウトを済ませなければならないからです。時間は午前の10時ですが、自分はいつも午後に起きるので(早起きはつらいですしね)、これはまずいです。しかも今回は初めての出張ですし、自分が講演者だったのも含めてだいぶ心身共に疲れています。それにもかかわらず翌日には午前中に追い出されてしまいますから、いろいろと大変です。とりあえず起きたらすぐに出られるように、荷物はまとめておきました。夜ふかしはよくないので、今日ばかりはすぐに就寝しました。普段だったら深夜からでも研究などをしてしまいがちですが、さすがに今日はそんな余裕はありませんでしたね。
しかし、これはもちろん宿泊地が悪いということではないのですが、あんまり眠れなかったですね。前日にしっかり疲れたので眠れるのではと思うかもしれませんが、自分はもともとかなり寝付きが悪いタイプで、しかも普段と全く違う環境だったのでなかなか眠れませんでした。12時に寝て午前の9時にでも起きれば9時間も睡眠時間を確保できたということになりますが、実際はたぶん5,6時間くらいしか寝られなかったと思います。もちろん宿泊地自体は快適だったのですが、やはり自分の問題ですね。たぶん何度も出張して慣れれば寝られるようになると思うのですが……
さて、そういうわけで翌日は午前の9時くらいに起きました。チェックアウトの時間まで少し余裕がありましたが、あんまりお腹は減っていなかったので朝食は取りませんでした(宿泊地に無料朝食サービスがあったようですが)。その代わりに、もう一度シャワーを浴びました。起きてシャワーを浴びるのも気持ちよくていいですね。普段自宅ならやらないことですが、せっかくだしと思ってやりました。しかもシャンプーやリンスも倍プッシュです。宿泊地ならではの贅沢ですね。その後はチェックアウトを済ませ、荷物を宿泊地に預けてから仙台駅に向かいました。
翌日の予定は研究打ち合わせです。せっかく東北大学に来て対面でお話しできるわけですから、ただただ講演だけをして帰るのは少しもったいないです。そういうわけで、今回は研究打ち合わせをすることにしました。再び昨日講演を聞いてくださった方の一部が仙台駅に来てくださり、お互いの研究内容を話しつつたくさん勉強させていただきました。しかし、これ以降の話に関しては残念ながら研究に関する重要な話ということですので、ここで詳細について述べることはできません(想像におまかせします)。
研究打ち合わせはかなり白熱し、結局夕方の5時くらいまで密度の高い討論が続きました。しかし今日一日だけでは話がまとまりきらず、もし今度も出張できるようならぜひ来てほしいということになりました。今回の出張は初めてだったことに加えて講演もあったのでかなり緊張してしまいましたが、同様の目的地に研究打ち合わせの目的だけで出張するならばもう少しリラックスして臨めそうです。
さて、惜しくも研究打ち合わせを終了し、宿泊地に預けた荷物を回収してからいよいよ仙台駅にて解散です。夕方の6時くらいだったでしょうか。翌日は休日にもかかわらず、夕方まで熱心に研究打ち合わせに付き合っていただいて本当にありがとうございました。帰りの新幹線の時間を確認し、お土産を見ながら時間を潰しました。
帰りも自由席でしたが、やはり混雑しておらず、リラックスして帰途につくことができました。さすがに宿泊地での寝不足もあって寝るかなと思いつつも、結局寝ることはなくあっという間に帰ってきてしまいました。
以上で出張はおしまいです。なかなか濃ゆい2日間でした。この初めての出張の記録を当初の緊張感や興奮なども交えて残しておきたいと思います。また出張に行くことがあればこのような記録を残していきたいですね。今回はこのくらいにしておきましょう。また次回もよろしくお願いします。
斉次Besov空間の補間理論Part2
こんにちは。ひよこてんぷらです。さて今回は前回の続きである斉次Besov空間 上の実補間関係
\begin{align} ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q}=\dot{B}_{p,q}^{(1-\theta)s_0+\theta s_1} \end{align}
を示していきます。前回の記事はこちらです。
前回までの命題によって、 に対して
\begin{align} \dot{B}_{p,q_0}^{s_0}\cap \dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \subset \dot{B}_{p,q}^s \subset \dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \end{align}
であることは分かっています。具体的に補間の関係を示すには、まず補間空間がどのように定義されているかを確認しなければなりませんね。これについては過去に少し扱っていますが、ここで少し述べておきましょう。
さて、2つのBanach空間 に対してそれぞれ関数
\begin{gather} K: [0,\infty) \times (X_0+X_1) \to \mathbb{R} \\ J: [0,\infty) \times (X_0 \cap X_1) \to \mathbb{R} \end{gather}
を
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) &=K(t,f,X_0,X_1) \\ &=\inf_{f=f_0+f_1 , \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1}\left\{\|f_0\|_{X_0}+t \|f_1\|_{X_1}\right\} \\ J(t,f) &=J(t,f,X_0,X_1) \\ &=\max\left\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\right\} \end{split}\end{equation}
と定義しましょう。 および とし、 上の非負値関数 に対して
\begin{equation} \Phi_{\theta,q}[\varphi ]=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \int_0^{\infty}(t^{-\theta}\varphi (t) )^q dt/t \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{0 \lt t \lt \infty}\{ t^{-\theta}\varphi (t) \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
とおきましょう。ここで
\begin{equation}\begin{split} K_{\theta,q}&=K_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0+X_1 \, \left| \, \|f\|_{K_{\theta,q}}=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot , f) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
とします。他方、
\begin{equation}\mathscr{J}(f)=\left\{ u \, \left| \, u(t) \in X_0 \cap X_1 , \, f=\int_0^{\infty}u(t)\frac{dt}{t} \right.\right\}\end{equation}
に対して
\begin{equation}\begin{split} J_{\theta,q}&=J_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0 + X_1 \, \left| \, \|f\|_{J_{\theta,q}}=\inf_{u \in \mathscr{J}(f)}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot , u(\cdot) ) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
とします。なお の定義における は の位相で収束しているとします。
さて、実はこのとき位相同型の意味で が成立しています。そういうわけで、これを実補間空間の定義に採用しましょう。すなわち とします。単に定義だけを述べるならいずれかの関数空間を導入すれば十分なのですが、このようにそれぞれの関数空間を導入しておくと不等式評価などの際に便利ですので、両方導入しておきましょう。
さて、では示したい斉次Besov空間の実補間を考えていきましょう。
(命題 C) 任意の および また に対して とおくと、次の関係
\begin{align} ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q} \subset \dot{B}_{p,q}^s \end{align}
が成立する。
さて、この証明は実補間空間として の定義を採用して計算します。まずは前提として命題 Aより、任意の はある および によって と分解されます。ゆえに
\begin{align} \|\varphi_j*f\|_{L^p} &\le \|\varphi_j*f_0\|_{L^p}+\|\varphi_j*f_1\|_{L^p} \\ &\le 2^{-s_0j}\|f_0\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}}+2^{-s_1j}\|f_1\|_{\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \end{align}
とできます。最後の不等式はそれぞれ および の重みをかけて に関する和を取ることで上から斉次Besovのnormで評価できるということです。さて、ここで という分解に関する下限を取ることで、
\begin{align} \|\varphi_j*f\|_{L^p} \le 2^{-s_0j}K(2^{-(s_1-s_0)j},f) \end{align}
を得ます。では斉次Besovのnormを計算してみましょう。
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s}^q &= \sum_{j \in \mathbb{Z}}(2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p})^q \\ &\le \sum_{j \in \mathbb{Z}}(2^{(s-s_0)j} K(2^{-(s_1-s_0)j},f) )^q \end{align}
さて、ここでの右辺ですが、実補間の定義にそろえるために級数を積分に書き直してみましょう。そこで
\begin{align} \int_{2^{-(s_1-s_0)j}}^{2^{-(s_1-s_0)(j-1)}}\frac{dt}{t}=(s_1-s_0)\log 2 \end{align}
という関係に注意しましょう。さらに を用いることで、 という範囲では
\begin{align} 2^{(s-s_0)j} K(2^{-(s_1-s_0)j},f) &\le 2^{\theta (s_1-s_0)j} K(t,f) \\ &\le 2^{-\theta (s_1-s_0)}t^{-\theta}K(t,f) \end{align}
と評価されます。以上のことから
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s}^q &\le \frac{2^{-\theta (s_1-s_0)q}}{(s_1-s_0)\log 2} \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^{-(s_1-s_0)j}}^{2^{-(s_1-s_0)(j-1)}} (t^{-\theta}K(t,f) )^q \frac{dt}{t} \end{align}
と評価でき、 の和をすべて考えることで積分範囲は重なることなくぴったり となります。ゆえにこれは の定義に他ならないわけです。したがって
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s} \le \frac{2^{-\theta (s_1-s_0)}}{( (s_1-s_0)\log 2)^{1/q}}\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{align}
となり、証明終了です!!なお、 の場合でも同様に証明できることはよいでしょう。
では逆を示しましょう。これによって示したいことが得られます。
(命題 D) 任意の および また に対して とおくと、次の関係
\begin{align} \dot{B}_{p,q}^s \subset ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q} \end{align}
が成立する。
さて、こちらは の定義を採用して証明します。まずは適当な を取りましょう。これに対して を考えると、これは滑らかな関数になります。というのも、斉次Besovの定義に突っ込んで級数を計算しようとすると ならば という関係によりほとんど項が消えてしまうからです。より詳しくは
\begin{align} \|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}}&= \left\{\sum_{k \in \mathbb{Z}} (2^{s_0j} \|\varphi_k*\varphi_j*f\|_{L^p})^{q_0}\right\}^{1/q_0} \\ &\le \|\varphi\|_{L^1}\left\{\sum_{k=j-1}^{j+1} (2^{s_0j} \|\varphi_j*f\|_{L^p})^{q_0}\right\}^{1/q_0} \\ &\le 3\|\varphi\|_{L^1} \times 2^{s_0j}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \end{align}
と評価できます。全く同様に
\begin{align} \|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \le 3\|\varphi\|_{L^1} \times 2^{s_1j}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \end{align}
もよいですね。これはもちろん や でも成立します。これらを評価することで、
\begin{align} J(2^{-(s_1-s_0)j},\varphi_j*f) \le 3\|\varphi\|_{L^1} \times 2^{s_0j}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \end{align}
となることが言えますね。さて、これを実補間の定義に従って積分したいのですが、 の場合は少し複雑で、与えられた に対して
\begin{align} f=\int_0^{\infty} u(t)\frac{dt}{t} , \quad \text{in } \dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \end{align}
となるような を取ってこないとダメなのでした。ではこの はどう構成するかというと、 Littlewood-Paley分解
\begin{align} f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}(\varphi_j*f) \end{align}
に着目すればうまくいきそうです。実際に、 を に対して
\begin{align} u(t)=\frac{\varphi_j*f}{(s_1-s_0)\log2} \end{align}
と定義すればよいです。そうすれば、次の積分
\begin{align} \int_{2^{-(s_1-s_0)(j+1)}}^{2^{-(s_1-s_0)j}}\frac{dt}{t}=(s_1-s_0)\log 2 \end{align}
に注意して
\begin{align} \int_0^{\infty}u(t) \frac{dt}{t} &=\sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^{-(s_1-s_0)(j+1)}}^{2^{-(s_1-s_0)j}} \frac{\varphi_j*f}{(s_1-s_0)\log2} \frac{dt}{t} \\ &= \sum_{j \in \mathbb{Z}} (\varphi_j*f) =f \end{align}
が言えますね。しかし一応注意しておくべきこととして、通常Littlewood-Paley分解は超関数 の位相での収束を意味していますので、これがちゃんと の意味でも収束しているかどうかを確かめたいですね。ここで命題 Aで示したように、今は を考えているので少なくとも であることには注意しておきましょう。なお上記の分解は超関数の意味では成立していますから、十分大きな を取って
\begin{align} f-\sum_{|j| \le N}(\varphi_j*f)=\sum_{|j| \ge N+1}(\varphi_j*f) \end{align}
が超関数の意味で成立するのはよいでしょう。後はこれに対して
\begin{align} \left\|f-\sum_{|j| \le N}(\varphi_j*f)\right\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \le \sum_{|j| \ge N+1}\|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \end{align}
と評価すれば、結局は
\begin{align} \sum_{j \in \mathbb{Z}} \|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \lt \infty \end{align}
を示せばよいことになります。実際そうならば上式で とすれば右辺は収束し目的が示されますね。ではどう示すかということですが、これもやはり の正負で分けてやるのがよさそうな気がします。つまり
\begin{align} &\sum_{j \in \mathbb{Z}} \|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \\ &=\sum_{j \ge 0}\|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}}+\sum_{j \le -1}\|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1}} \end{align}
を考えよということです。ここで のnormは を と分解しその下限を考えよということですので、適当な分解があればそれで上から抑えられます。特にいま考えている は滑らかな関数なので、ここでは完全に一方の空間に吸収されていると考えてもOKです。つまり として考えてしまいましょう。そうすれば命題 Aの証明と同様にして
\begin{align} &\sum_{j \ge 0} \|\varphi_j*f\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}} \\ &\le \sum_{j \ge 0}\|\varphi\|_{L^1}\left\{ \sum_{k \in \mathbb{Z} , |k-j| \le 1}(2^{s_0k}\|\varphi_k*f\|_{L^p})^{q_0} \right\}^{1/q_0} \\ &\le 3\|\varphi\|_{L^1}\|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s} \left(\sum_{k \ge -1}2^{-(s-s_0)kq_0}\right)^{1/q_0} \lt \infty \end{align}
よりOKです。同様に の和に関しては として考えてやれば、上の計算と同様に収束が示せます。これから に対して
\begin{align} u(t)=\frac{\varphi_j*f}{(s_1-s_0)\log2} \end{align}
と定義すれば
\begin{align} \int_0^{\infty}u(t) \frac{dt}{t} = \sum_{j \in \mathbb{Z}} (\varphi_j*f) =f \end{align}
が の意味で成立することが分かりました。さて、最後に の定義による積分を実行して証明を完成させましょう。すなわち
\begin{align} \|f\|_{J_{\theta,q}}^q &\le \int_0^{\infty}(t^{-\theta}J(t,u(t)) )^q \frac{dt}{t} \\ &= \frac{1}{( (s_1-s_0)\log 2 )^q}\sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^{-(s_1-s_0)(j+1)}}^{2^{-(s_1-s_0)j}} (t^{-\theta}J(t,\varphi_j*f) )^q \frac{dt}{t} \end{align}
ですが、ここで の範囲に注意して
\begin{align} t^{-\theta}J(t,\varphi_j*f) &\le 2^{\theta (s_1-s_0)(j+1)}J(2^{-(s_1-s_0)j},\varphi_j*f) \\ &\le 2^{\theta (s_1-s_0)(j+1)} \times 3\|\varphi\|_{L^1} \times 2^{s_0j}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \\ &=3\|\varphi\|_{L^1} \times 2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \end{align}
とできることに注意しましょう。途中で初めに示した に対する評価式を用いています。さて、これであとは計算するだけですね。
\begin{align} \|f\|_{J_{\theta,q}}^q &\le \int_0^{\infty}(t^{-\theta}J(t,u(t)) )^q \frac{dt}{t} \\ &\le \left(\frac{3\|\varphi\|_{L^1}}{(s_1-s_0)\log 2}\right)^q\sum_{j \in \mathbb{Z}} (2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p})^q \int_{2^{-(s_1-s_0)(j+1)}}^{2^{-(s_1-s_0)j}} \frac{dt}{t} \\ &=\left( \frac{3\|\varphi\|_{L^1}}{(s_1-s_0)\log 2}\|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s}\right)^q(s_1-s_0)\log 2 \end{align}
より
\begin{align} \|f\|_{J_{\theta,q}} \le \frac{3\|\varphi\|_{L^1}}{( (s_1-s_0)\log 2)^{1-1/q}}\|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s} \end{align}
となり証明終了です!! の場合も大丈夫ですね。
さて、以上のことから
\begin{align} ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q}=\dot{B}_{p,q}^{(1-\theta)s_0+\theta s_1} \end{align}
が成立するということが確かめられました!!なお証明はBergh-LöfströmのTheorem 6.2.4を参考にしています。こちらの補間の本は斉次型空間について参考になることがいくつか書かれてはいるのですが、どれも証明は非斉次型のそれと同様とくらいにしか書かれていなかったので、少し詳しく自分なりの証明をつけてみました。ご参考になればと思います。
ひとまずこの記事についてはこのくらいとしたいと思います。見てくださってありがとうございます。
斉次Besov空間の補間理論
こんにちは。ひよこてんぷらです。お久しぶりです。
最近かなり忙しくてずっと更新を放置してしまいました。この間に論文を書いたり研究集会で発表をしたりといろいろやっていました。今のところは今書いている4本目の論文がだいぶ落ち着いてきまして、研究集会の予定もないので暇です。
しかし論文を書いているうちに新たな疑問がわいてきたので、新しい論文のネタにできたらいいなと思っています。そのためにChemin-Lerner空間 というのを勉強する必要があるのですが、いかんせん参考になる文献が少なく、困っています……何か参考になりそうなものをご存じの方がいればご教授願えればと思います。
さて、今回は補間について考えていきます。これまで研究で斉次Besov空間 をよく扱ってきたのですが、今回はより基本的な内容を理解したいと思いますので、ここで勉強していきたいと思います。今回の目的は、任意の および また に対して次の実補間関係
\begin{align} ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q}=\dot{B}_{p,q}^{(1-\theta)s_0+\theta s_1} \end{align}
が成立することを示すことです。斉次Besov空間の定義はざっくりと
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,q}^s} &= \| \{2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p}\}_{j \in \mathbb{Z}} \|_{l^q} \\ &= \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} (2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p})^q \right\}^{1/q} \end{align}
が有限になるような超関数 の空間としておきましょう。 なら と読み替えてください。
さて、まずは次を示しましょう。
(命題 A) 任意の および に対して が成立する。
これを示すには がそれぞれ関数 および によって と分解されることを示せばよいです。これはすぐに分かり、実際Littlewood-Paley分解によって
\begin{align} f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}(\varphi_j*f) \end{align}
と分解されますから、例えば
\begin{align} f=\sum_{j \ge 0}(\varphi_j*f)+\sum_{j \le -1}(\varphi_j*f)=f_0+f_1 \end{align}
とすればよいですね。さて、 ならば が成立することに注意すれば
\begin{align} \varphi_k*f_0 &=\varphi_k*\left\{ \sum_{j \ge 0}(\varphi_j*f) \right\} \\ &=\sum_{j \ge 0, |k-j| \le 1}(\varphi_k*\varphi_j*f) \end{align}
となるので
\begin{align} \sum_{k \in \mathbb{Z}}(2^{s_0k}\|\varphi_k*f_0\|_{L^p})^{q_0} \le \sum_{k \in \mathbb{Z}}\left(2^{s_0k}\sum_{j \ge 0, |k-j| \le 1}\|\varphi_k*\varphi_j*f\|_{L^p}\right)^{q_0} \end{align}
と計算できます。ここで の条件から ならば右辺は消えてしまいますから、 についてだけ考えればよいです。またこのとき の和の項について
\begin{align} \|\varphi_k*\varphi_j*f\|_{L^p} \le \|\varphi\|_{L^1}\|\varphi_k*f\|_{L^p} \end{align}
が成立します。これはYoungの畳み込みの不等式を用いました。また は normで見ると に関して一様有界となることが従うので、結局和の部分は によらないわけです。さらに和は高々3つしか出てきませんから、
\begin{align} \sum_{j \ge 0, |k-j| \le 1}\|\varphi_k*\varphi_j*f\|_{L^p} \le 3\|\varphi\|_{L^1}\|\varphi_k*f\|_{L^p} \end{align}
となりますね。したがって上の総和は
\begin{align} \sum_{k \in \mathbb{Z}}(2^{s_0k}\|\varphi_k*f_0\|_{L^p})^{q_0} &\le \sum_{k \ge -1}(2^{s_0k} \times 3\|\varphi\|_{L^1}\|\varphi_k*f\|_{L^p} )^{q_0} \\ &= (3\|\varphi\|_{L^1})^{q_0} \sum_{k \ge -1}(2^{s_0k}\|\varphi_k*f\|_{L^p} )^{q_0} \end{align}
と評価できます。さて仮定から および ですから、和の中身を
\begin{align} (2^{s_0k}\|\varphi_k*f\|_{L^p})^{q_0} \le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^s}^{q_0} \times 2^{(s_0-s)kq_0} \end{align}
とでもしてやればOKですね。実際 は正方向に大きくなるので、正方向の無限級数を考えるわけですが、 のべきが であることに注意すれば級数は収束します。ゆえに
\begin{align} \|f_0\|_{\dot{B}_{p,q_0}^{s_0}} \le 3\|\varphi\|_{L^1}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^s}\left( \sum_{k \ge -1} 2^{(s_0-s)kq_0} \right)^{1/q_0} \lt \infty \end{align}
より です。 の場合での計算でしたが でももちろん大丈夫ですね。さて次は についてですが、この場合は
\begin{align} f_1=\sum_{j \le -1}(\varphi_j*f) \end{align}
より同様に考えれば は負方向に大きくなり、負方向の無限級数が出てきますが、現れるべきも となりやはり収束します。ゆえにOKです。以上のことから任意の は関数 および によって と分解されることが分かり、 が示されました!!
では次にこちらを示しましょう。
(命題 B) 任意の および に対して が成立する。
こちらはどうするかというと、まず
\begin{align} \dot{B}_{p,q_0}^{s_0} \cap \dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \subset \dot{B}_{p,\infty}^{s_0} \cap \dot{B}_{p,\infty}^{s_1} , \quad \dot{B}_{p,1}^s \subset \dot{B}_{p,q}^s \end{align}
という関係に注目し、 の証明を目指します。また、 を と定めると、すぐに および が分かります。いわゆる指数の補間関係ですね。
さて をとり、さっそく のnormを計算してみましょう。適当な をとり
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,1}^s}=\sum_{j \le N-1}2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p}+\sum_{j \ge N}2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p} \end{align}
と分けておきます。もちろんどんな でも上式は成立しますから、あとから自由に決めなおしてもOKですね。ここで という関係に着目しましょう。これを用いるとそれぞれの級数に対して
\begin{align} 2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p} &\le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}} \times 2^{(s_1-s_0)\theta j} \\ 2^{sj}\|\varphi_j*f\|_{L^p} &\le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}} \times 2^{-(s_1-s_0)(1-\theta) j} \end{align}
と評価できますから、
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,1}^s} &\le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}\sum_{j \le N-1}2^{(s_1-s_0)\theta j}+\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\sum_{j \ge N}2^{-(s_1-s_0)(1-\theta) j} \\ &=\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}\times \frac{2^{N(s_1-s_0)\theta}}{2^{(s_1-s_0)\theta}-1}+\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\times \frac{2^{-N(s_1-s_0)(1-\theta)}}{1-2^{-(s_1-s_0)(1-\theta)}} \end{align}
が成立しますね。最後の等式は無限級数を計算した結果です。 という関係からそれぞれの級数が収束することに注意しましょう。
さて、この時点で命題の証明は終了ですが、せっかくですのでもう少しちゃんと評価してみましょう。初めに選んだ はなんでもよかったので、ここで
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{-1} \le 2^{N(s_1-s_0)} \le 2^{s_1-s_0}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{-1} \end{align}
を満たすように取りましょう。とりあえずこのような が取れるというのはよいでしょうか。実際にどんな が与えられても、 に注意すれば十分大きな をとって が成立するようにできるわけです。さて、ここでこのような条件を満たす最小の を考えると、 では成立しないので、 となります。これより が成立しますね。ゆえに上式を満たすような が存在します。さて、このように取れば
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,1}^s} &\le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}\times \frac{2^{N(s_1-s_0)\theta}}{2^{(s_1-s_0)\theta}-1}+\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\times \frac{2^{-N(s_1-s_0)(1-\theta)}}{1-2^{-(s_1-s_0)(1-\theta)}} \\ &\le \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}\times \frac{(2^{s_1-s_0}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{-1})^{\theta}}{2^{(s_1-s_0)\theta}-1} \\ &+\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\times \frac{(\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{-1})^{-(1-\theta)}}{1-2^{-(s_1-s_0)(1-\theta)}} \\ &= \left(\frac{1}{1-2^{-(s_1-s_0)\theta}}+\frac{1}{1-2^{-(s_1-s_0)(1-\theta)}}\right)\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{1-\theta}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}^{\theta} \end{align}
とできますね。最後にもう少し整理しておきましょうか。 に対して次の関数
\begin{align} f(x)=\frac{ax}{(1+x)(1-2^{-ax})} , \quad x \gt 0 \end{align}
を考えます。微分すると簡単な計算で
\begin{align} f'(x)&=\frac{a2^{-ax}g(x)}{(1+x)^2(1-2^{-ax})^2} \\ g(x)&=2^{ax}-ax(1+x)\log 2 -1 \end{align}
となることが分かりますが、ここで に注意すれば の範囲では となるような がただ一つ存在します。ゆえに は では単調減少、 では単調増加です。これと
\begin{align} \lim_{x \to +0}g(x)=0 , \quad \lim_{x \to \infty}g(x)=\infty \end{align}
を合わせれば再び なる がただ一つ存在することが従います。したがって では であり、 では です。そういうわけで の上限は もしくは のときに与えられます。さて、
\begin{align} \lim_{x \to \infty}f(x)=a\lim_{x \to \infty} \frac{1}{1-2^{-ax}}=a \end{align}
および
\begin{align} \lim_{x \to +0}f(x)&=\lim_{x \to +0}\frac{ax}{1-2^{-ax}}=-a\lim_{x \to +0}\frac{x-0}{2^{-ax}-2^0} \\ &=\frac{-a}{\partial_x(2^{-ax})|_{x=0}} =\frac{-a}{-a2^{-ax}\log 2|_{x=0}}=\frac{1}{\log 2} \end{align}
ですから、 より が上限(最大値)となります。ゆえに
\begin{align} \frac{ax}{(1+x)(1-2^{-ax})} \le \frac{1}{\log 2} \end{align}
であり、 および を考えれば
\begin{align} \frac{1}{1-2^{-(s_1-s_0)\theta}} &\le \frac{1}{\log 2}\left( 1+\frac{1}{s_1-s_0} \right)\frac{1}{\theta} \\ \frac{1}{1-2^{-(s_1-s_0)(1-\theta})} &\le \frac{1}{\log 2}\left( 1+\frac{1}{s_1-s_0} \right)\frac{1}{1-\theta}\end{align}
となります。したがって評価式は
\begin{align} \|f\|_{\dot{B}_{p,1}^s} \le \frac{1}{\log 2}\left( 1+\frac{1}{s_1-s_0} \right)\left(\frac{1}{\theta}+\frac{1}{1-\theta}\right) \|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_0}}^{1-\theta}\|f\|_{\dot{B}_{p,\infty}^{s_1}}^{\theta} \end{align}
となりました。これで証明終了としましょう。なお、この不等式はBahouri-Chemin-DanchinのProposition 2.22に対応したものです。
さて、命題 Aおよび 命題 Bによって
\begin{align} \dot{B}_{p,q_0}^{s_0}\cap \dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \subset \dot{B}_{p,q}^s \subset \dot{B}_{p,q_0}^{s_0}+\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} \end{align}
が示されましたが、これは実補間を実行する上で前提となる仮定です。つまり空間 および の実補間空間 は
\begin{align} X \cap Y \subset (X,Y)_{\theta,q} \subset X+Y \end{align}
を満たすので、
\begin{align} ( \dot{B}_{p,q_0}^{s_0},\dot{B}_{p,q_1}^{s_1} )_{\theta,q}=\dot{B}_{p,q}^{(1-\theta)s_0+\theta s_1} \end{align}
を示す際には少なくともいま示した関係は成立しなければならない、ということです。今回はこれを確かめました。さて、少し長くなってしまいましたので、次回で実補間の関係式を示しましょう!!よろしくお願いします。
実補間理論の勉強Part3
こんにちは。ひよこてんぷらです。
さて、今回は前回勉強した抽象的な実補間の理論をフルに用いて、Lorentz空間の実補間理論を完成させましょう!!
多少一般化して、ここでは次のような定義でLorentz空間を与えます。まずは を測度空間とします。また をBanach空間としましょう。通常の 空間はいつも通り
\begin{equation}\begin{split} L^p(\Omega : X) &=L^p( (\Omega,\mathcal{M},\mu) : X ) \\ &=\left\{ f: \Omega \to X \, \left| \, \|f\|_{L^p(\Omega :X)} \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
ただし
\begin{equation} \|f\|_{L^p(\Omega : X)} = \left\{\begin{array}{cl} \left\{ \int_{\Omega} \|f(x)\|_X^p d\mu (x) \right\}^{1/p} & (1 \le p \lt \infty ) \\ \sup_{x \in \Omega}\|f(x)\|_X & (p=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
で与えましょう。さて、 上の 値 可測関数 に対して
\begin{equation} E_f(\lambda)=E_f(\lambda,\Omega,X)=\{ x \in \Omega \, | \, \|f(x)\|_X \gt \lambda \} \end{equation}
とおきます。さらにこれを用いて、 の再配列関数を
\begin{equation} f^*(t)=f^*(t,\Omega,X) = \inf\{ \lambda \gt 0 \, | \, \mu(E_f(\lambda,\Omega,X) ) \le t \} \end{equation}
と定義します。これらを用いて、指数 に対するLorentz空間を
\begin{equation}\begin{split} L^{p,q}(\Omega :X) &=L^{p,q}( (\Omega,\mathcal{M},\mu):X ) \\ &=\left\{ f \in L_{\mathrm{loc}}^1(\Omega :X) \, \left| \, \|f\|_{L^{p,q}(\Omega : X)} \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
ただし
\begin{equation} \|f\|_{L^{p,q}(\Omega : X)} = \left\{\begin{array}{cl} \left\{ \int_0^{\infty} (t^{1/p}f^*(t) )^q dt/t \right\}^{1/q} & (1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{t \gt 0}\{t^{1/p}f^*(t)\} & (q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
で与えます。面白いことにLorentz空間では分布関数や再配列関数を通じるとnorm上に などが全く現れなくなります。これは分布関数が全て吸収してしまい、再配列関数では完全に 上の実数値Lebesgue可測関数になってしまうからですね。
さて、少し下準備をしましょう。まず 空間について、通常は 上で考えますが、 上でも考えることができます。ただしnormが三角不等式を満たさなくなることに注意しましょう。すなわち準Banach空間になりますね。なお、この場合でも三角不等式は係数付きで成立するため、実補間論は有効になります。ここでは次の不等式を見ておきます。
(補題 J) 任意の 上の非負値関数 に対して
\begin{equation} \min\{1,2^{1/p-1}\} \le \frac{ \|\varphi+\psi\|_{L^p(I)} }{ \|\varphi\|_{L^p(I)}+\|\psi\|_{L^p(I)} } \le \max\{1,2^{1/p-1}\} \end{equation}
が成立する。
さて、まずは とします。凸性と単調増加性より任意の に対して ですね。一方 として考えればこれは逆になり です。したがってまずは上の不等式から
\begin{equation} 1 \le \frac{\|\varphi+\psi\|_{L^p(I)}^p}{\|\varphi\|_{L^p(I)}^p+\|\psi\|_{L^p(I)}^p} \le 2^{p-1} \end{equation}
が分かり、下の不等式から
\begin{equation} 2^{1/p-1} \le \frac{ \left( \|\varphi\|_{L^p(I)}^p+\|\psi\|_{L^p(I)}^p \right)^{1/p} }{ \|\varphi\|_{L^p(I)}+\|\psi\|_{L^p(I)} } \le 1 \end{equation}
ですね。ゆえにこれを組み合わせれば
\begin{equation} 2^{1-1/p} \le \frac{ \|\varphi+\psi\|_{L^p(I)} }{ \|\varphi\|_{L^p(I)}+\|\psi\|_{L^p(I)} } \le 2^{1/p-1} \end{equation}
が得られます。 の場合は全て逆になりますね。しかし実際は での三角不等式
\begin{equation} \|\varphi+\psi\|_{L^p(I)} \le \|\varphi\|_{L^p(I)}+\|\psi\|_{L^p(I)} \end{equation}
および での逆三角不等式
\begin{equation} \|\varphi+\psi\|_{L^p(I)} \ge \|\varphi\|_{L^p(I)}+\|\psi\|_{L^p(I)} \end{equation}
よりさらに評価は精密化され、上で示した不等式が示されます。逆三角不等式の証明は通常の と同じようにできます。
(補題 K)
(i) 上の 値 可測関数 に対して
\begin{equation} \mu( E_f( f^*(t) ) ) \le t, \quad t \gt 0 \end{equation}
であり、また は非負値単調減少関数である。
(ii) が成立する。
(iii) および とし、 上で常に であるとする。このとき任意の に対して
\begin{equation} \int_A (\|f(x)\|_X-a)^pd\mu(x) \le \int_0^{\mu(A)} (f^*(t)-a)^pdt \end{equation}
が成立する。また、
\begin{equation} \int_{\Omega} \|f(x)\|_X^pd\mu(x) = \int_0^{\infty} (f^*(t) )^pdt \end{equation}
である。
(i) 初めに分布関数の性質を見ていきましょう。単調減少性と右連続性が分かります。実際、任意の に対して
\begin{equation} \{x \in \Omega \, | \, \|f(x)\|_X \gt \lambda_2\} \subset \{x \in \Omega \, | \, \|f(x)\|_X \gt \lambda_1\} \end{equation}
ですね。したがって測度の単調性から です。また、このことから、測度の連続性より右連続性が従います。単調増加集合列の測度は収束するんでしたね。さて、ここで の定義より、任意の に対して が存在して
\begin{equation} \lambda_{\varepsilon} \lt f^*(t)+\varepsilon \quad \text{and} \quad \mu(E_f(\lambda_{\varepsilon}) ) \le t \end{equation}
が成立します。再び測度の単調性から
\begin{equation} \mu(E_f(f^*(t) +\varepsilon ) ) \le \mu(E_f( \lambda_{\varepsilon} ) ) \le t \end{equation}
ですから、右連続性より として を得ます。さらに のとき
\begin{equation}\begin{split} f^*(t) &=\inf\{ \lambda \gt 0 \, | \, \mu (E_f(\lambda) ) \le t \} \\ &\le \inf\{ \lambda \gt 0 \, | \, \mu (E_f(\lambda) ) \le s \} \\ &=f^*(s) \end{split}\end{equation}
より非負値単調減少性もOKです。
(ii) これも段階を踏んで示しましょう。まずは
\begin{equation} f^*(t) \gt \lambda_0 \quad \Longleftrightarrow \quad \mu(E_f(\lambda_0) ) \gt t \end{equation}
を見ます。実際
\begin{equation} \lambda_0 \lt f^*(t)=\inf\{\lambda \gt 0 \, | \, \mu(E_f(\lambda) ) \le t\} \end{equation}
ならば下限の定義より は最右辺の集合に含まれないので が成立します。一方 かつ を仮定すると(i)より
\begin{equation}\mu(E_f(\lambda_0) ) \le \mu(E_f(f^*(t) ) ) \le t \end{equation}
となり矛盾です。ゆえに上の主張が成立します。
次に定義関数 および に対して を示しましょう。これは素直に
\begin{equation} E_{\chi_A}(\lambda,\Omega,\mathbb{R})=\{ x \in \Omega \, | \, \chi_A(x) \gt \lambda \} = \left\{\begin{array}{cl} A & (0 \le \lambda \lt 1) \\ \varnothing & (\lambda \ge 1) \end{array}\right. \end{equation}
すなわち
\begin{equation} \mu( E_{\chi_A}(\lambda,\Omega,\mathbb{R}) ) = \left\{\begin{array}{cl} \mu(A) & (0 \le \lambda \lt 1) \\ 0 & (\lambda \ge 1) \end{array}\right. \end{equation}
と計算することで、
\begin{equation}\begin{split} (\chi_A)^*(t,\Omega,\mathbb{R}) &= \inf\{\lambda \gt 0 \, | \, \mu(E_{\chi_A}(\lambda,\Omega,\mathbb{R}) ) \le t\} \\ &= \left\{\begin{array}{cl} 1 & (t \lt \mu(A) ) \\ 0 & (t \ge \mu (A) ) \end{array}\right. \\ &= \chi_{(0,\mu(A) )}(t) \end{split}\end{equation}
を得ます。ゆえに主張が示されました。
今度は を示しましょう。これは先に示した関係から
\begin{equation}\begin{split} E_{f^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R}) &=\{t \in (0,\infty) \, | \, f^*(t,\Omega,X) \gt \lambda\} \\ &=\{t \in (0,\infty) \, | \, \mu(E_f(\lambda,\Omega,X ) ) \gt t\} \\ &=(0,\mu(E_f(\lambda,\Omega,X ) )) \end{split}\end{equation}
なので、
\begin{equation}\begin{split} (\chi_{E_f(\lambda,\Omega,X)})^*(t,\Omega,\mathbb{R}) &= \chi_{ (0,\mu( E_f(\lambda,\Omega,X) )) }(t) \\ &=\chi_{E_{f^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R})}(t) \end{split}\end{equation}
より示されます。したがって、これらを合わせて
\begin{equation}\begin{split} \chi_{(0,\mu(E_f(\lambda,\Omega,X) ) )}(t) &=(\chi_{E_f(\lambda,\Omega,X)})^*(t,\Omega,\mathbb{R}) \\ &=\chi_{E_{f^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R})}(t) \end{split}\end{equation}
が示されました。
(iii) さて、 とおきましょう。このとき
\begin{equation}\begin{split} \mu(E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R} ) ) &=\mu (\{ x \in \Omega \, | \, \|f(x)\|_X-a \gt \lambda \}) \\ &=\mu(E_f(\lambda +a,\Omega,X) ) \end{split}\end{equation}
ですから、
\begin{equation}\begin{split} F^*(t,\Omega,\mathbb{R}) &=\inf\{\lambda \gt 0 \, | \, \mu(E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R}) ) \le t\} \\ &= \inf\{\lambda \gt 0 \, | \, \mu(E_f(\lambda +a,\Omega,X) )\le t\} \\ &=f^*(t,\Omega,X)-a \end{split}\end{equation}
が分かりますね。さて、ここで以下のように変形します。
\begin{equation}\begin{split} &\int_A (\|f(x)\|_X-a)^p d\mu(x) \\ &=\int_{\Omega} \chi_A(x)(F(x) )^p d\mu(x) \\ &=\int_{\Omega}\chi_A(x) \int_0^{F(x)} p\lambda^{p-1}d\lambda d\mu(x) \\ &=\int_{\Omega} \int_0^{\infty} \chi_A(x) \chi_{E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})}(x) p\lambda^{p-1}d\lambda d\mu(x) \end{split}\end{equation}
Fubiniの定理を用いて
\begin{equation}\begin{split} &\int_A (\|f(x)\|_X-a)^p d\mu(x) \\ &=\int_0^{\infty}\left(\int_{\Omega} \chi_A(x) \chi_{E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})}(x) d\mu(x) \right) p\lambda^{p-1}d\lambda \end{split}\end{equation}
と書けるわけですが、ここで一般の に対しては
\begin{equation}\begin{split} &\int_{\Omega} \chi_A(x) \chi_{E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})}(x) d\mu(x) \\ &=\mu (A \cap E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})) \\ &\le \int_0^{\min\{\mu (A), \mu (E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})) \}} dt \\ &= \int_0^{\mu (A)} \chi_{(0,\mu(E_F (\lambda,\Omega,\mathbb{R})))}(t) dt \\ &= \int_0^{\mu (A)} \chi_{E_{F^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R})}(t) dt \end{split}\end{equation}
です。もし ならば
\begin{equation}\begin{split} &\int_{\Omega} \chi_A(x) \chi_{E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})}(x) d\mu(x) \\ &=\mu ( E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})) \\ &= \int_0^{\mu (E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R}))} dt \\ &= \int_0^{\infty} \chi_{(0,\mu (E_F(\lambda,\Omega,\mathbb{R})))}(t) dt \\ &= \int_0^{\infty} \chi_{E_{F^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R})}(t) dt \end{split}\end{equation}
に注意しましょう。再びFubiniを用いて
\begin{equation}\begin{split} &\int_A (\|f(x)\|_X-a)^p d\mu(x) \\ &\le \int_0^{\mu(A)} \left( \int_0^{\infty} \chi_{E_{F^*}(\lambda,(0,\infty),\mathbb{R})}(t) p\lambda^{p-1}d\lambda \right) dt \\ &=\int_0^{\mu(A)} \left( \int_0^{F^*(t,\Omega,\mathbb{R})}p\lambda^{p-1}d\lambda \right) dt \\ &= \int_0^{\mu(A)} ( f^*(t,\Omega,X)-a )^p dt \end{split}\end{equation}
が得られますね。 の場合も同様です。ゆえに証明終了です!!
さて、少し準備が大変でしたが、ここで導入したLorentz空間は実補間の言葉を用いるとどのように表されるのか??という関係を探っていきたいと思います!!
(定理 L) とするとき、任意の に対して
\begin{equation} \min\{ 1,2^{1-1/p} \} \le \frac{ \left\{ \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{1/p} }{ K(t,f,L^p(\Omega : X),L^{\infty}(\Omega : X)) } \le \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \end{equation}
が成立する。
初めに、 ならば測度有限な領域 上では 可積分であることを確認しましょう。実際、
\begin{equation} f=f_0+f_1 \in L^p(\Omega : X)+L^{\infty}(\Omega : X) \end{equation}
と分解すれば、補題 Jから
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{L^p(A:X)} &\le \max\{1,2^{1/p-1}\} \left(\|f_0\|_{L^p(A:X)}+\|f_1\|_{L^p(A :X)}\right) \\ &\le \max\{1,2^{1/p-1}\} \left(\|f_0\|_{L^p(A:X)}+(\mu (A) )^{1/p}\|f_1\|_{L^{\infty}(A :X)}\right) \\ &\lt \infty \end{split}\end{equation}
よりOKですね。さて、
\begin{equation} E_t=E_f(f^*(t^p) )=\{x \in \Omega \, | \, \|f(x)\|_X \gt f^*(t^p)\} \end{equation}
とすると、補題 Kより となります。これを用いて
\begin{equation} f_0^t(x)=\left\{\begin{array}{cc} f(x)-f^*(t^p)f(x)/\|f(x)\|_X & x \in E_t \\ 0 & x \notin E_t \end{array}\right.\end{equation}
および
\begin{equation} f_1^t(x)=\left\{\begin{array}{cc} f^*(t^p)f(x)/\|f(x)\|_X & x \in E_t \\ f(x) & x \notin E_t \end{array}\right.\end{equation}
とすると、 が成立します。さて、 において
\begin{equation}\begin{split} \|f_0^t(x)\|_X &= \left\| f(x)-f^*(t^p) \frac{f(x)}{\|f(x)\|_X} \right\|_X \\ &= \left\| \frac{f(x)}{\|f(x)\|_X} \left( \|f(x)\|_X-f^*(t^p) \right) \right\|_X \\ &= \|f(x)\|_X-f^*(t^p) \end{split}\end{equation}
であることを用いれば、まず
\begin{equation}\begin{split} \|f_0^t\|_{L^p(\Omega :X)}^p &=\int_{E_t} \|f_0^t(x)\|_X^p d\mu(x) \\ &=\int_{E_t} ( \|f(x)\|_X-f^*(t^p) )^p d\mu(x) \\ &\le \int_{E_t} \|f(x)\|_X^p d\mu(x) \end{split}\end{equation}
より が分かります。また補題 Kより
\begin{equation}\begin{split} \|f_0^t\|_{L^p(\Omega :X)}^p &=\int_{E_t} \|f_0^t(x)\|_X^p d\mu(x) \\ &=\int_{E_t} ( \|f(x)\|_X-f^*(t^p) )^p d\mu(x) \\ &\le \int_0^{\mu (E_t)} ( f^*(s)-f^*(t^p) )^p ds \\ &\le \int_0^{t^p} ( f^*(s)-f^*(t^p) )^p ds \end{split}\end{equation}
ですね。一方 はすぐ分かるように ならば で、 ならば の定義より です。ゆえに
\begin{equation} \|f_1^t\|_{L^{\infty}(\Omega : X)}=f^*(t^p) \end{equation}
となり ですね。したがって補題 Jより
\begin{equation}\begin{split} &K(t,f,L^p(\Omega :X),L^{\infty}(\Omega :X) ) \\ &\le \|f_0^t\|_{L^p(\Omega:X)}+t\|f_1^t\|_{L^{\infty}(\Omega:X)} \\ &\le \left\{\int_0^{t^p} ( f^*(s)-f^*(t^p) )^p ds\right\}^{\frac{1}{p}}+f^*(t^p)\left( \int_0^{t^p} ds\right)^{\frac{1}{p}} \\ &= \left\{\int_0^{t^p} ( f^*(s)-f^*(t^p) )^p ds\right\}^{\frac{1}{p}}+\left\{ \int_0^{t^p} ( f^*(t^p) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le \max\{1,2^{1-1/p}\} \left\{\int_0^{t^p} ( f^*(s)-f^*(t^p)+f^*(t^p) )^p ds\right\}^{\frac{1}{p}} \\ &=\max\{1,2^{1-1/p}\} \left\{\int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds\right\}^{\frac{1}{p}} \end{split}\end{equation}
が得られます!!
今度は逆ですね。 と分解しておきます。ここで任意の に対して ならば または を示しましょう。これはすぐ示せて、実際もし なる があれば
\begin{equation} \lambda_0+\lambda_1 \lt \|f(x)\|_X \le \|f_0(x)\|_X+\|f_1(x)\|_X \le \lambda_0+\|f_1(x)\|_X \end{equation}
となり が従うからです。したがってこれは
\begin{equation} E_f(\lambda_0+\lambda_1) \subset E_{f_0}(\lambda_0) \cup E_{f_1}(\lambda_1) \end{equation}
を意味していますね。さて、 の定義から、任意の および に対して
\begin{equation}\begin{split} \lambda_0^{\delta} \lt f_0^*( (1-\varepsilon)s ) +\delta/2 \quad &\text{and} \quad \mu (E_{f_0}(\lambda_0^{\delta}) ) \le (1-\varepsilon)s \\ \lambda_1^{\delta} \lt f_1^*( \varepsilon s ) +\delta/2 \quad &\text{and} \quad \mu (E_{f_1}(\lambda_1^{\delta}) ) \le \varepsilon s \end{split}\end{equation}
とできます。このとき上で示したことから
\begin{equation} \mu(E_f(\lambda_0^{\delta}+\lambda_1^{\delta}) ) \le \mu(E_{f_0}(\lambda_0^{\delta}) )+\mu(E_{f_1}(\lambda_1^{\delta})) \le s \end{equation}
なので、 の定義から
\begin{equation} f^*(s) \lt \lambda_0^{\delta}+\lambda_1^{\delta} \lt f_0^*( (1-\varepsilon)s)+f_1^*(\varepsilon s)+\delta \end{equation}
とできます。ゆえに が成立します。したがって補題 J,Kおよび変数変換 より
\begin{equation}\begin{split} &\left\{ \int_0^{t^p} (f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \\ &\times \left[ \left\{ \int_0^{t^p} ( f_0^*( (1-\varepsilon)s ) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}}+\left\{ \int_0^{t^p} ( f_1^*( \varepsilon s ) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \right] \\ &\le \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \\ &\times \left[ \left\{ \int_0^{(1-\varepsilon)t^p} ( f_0^*( r ) )^p (1-\varepsilon)^{-1}dr \right\}^{\frac{1}{p}}+\left\{ ( f_1^*(0 ) )^p \int_0^{t^p} ds \right\}^{\frac{1}{p}} \right] \\ &\le \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left[ (1-\varepsilon)^{-1/p} \left\{ \int_0^{\infty} ( f_0^*( r ) )^p dr \right\}^{\frac{1}{p}}+tf_1^*(0) \right] \end{split}\end{equation}
となります。補題 Kより であり、また です。実際、
\begin{equation}\begin{split} f_1^*(0) &=\inf\{ \lambda \gt 0 \, | \, \mu (E_{f_1}(\lambda ) ) \le 0 \} \\ E_{f_1}(\lambda ) &=\{ x \in \Omega \, | \, \|f_1(x)\| \gt \lambda \} \end{split}\end{equation}
より分かりますね。さて、
\begin{equation}\begin{split} &\left\{ \int_0^{t^p} (f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left\{ (1-\varepsilon)^{-1/p} \|f_0\|_{L^p(\Omega :X)}+t\|f_1\|_{L^{\infty}(\Omega :X)} \right\} \end{split}\end{equation}
より としてから分解 の下限をとれば
\begin{equation}\begin{split} &\left\{ \int_0^{t^p} (f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1/p-1} \}K(t,f,L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X)) \end{split}\end{equation}
となります。したがって主張が示されました!!
さて、いよいよLorentz空間と実補間との関係を見ていきましょう!!ここで前回の定理 Iであるreiteration theoremが火を吹きます!!
(定理 I) をBanach空間とする。任意の なる および また に対して
\begin{gather} ( (X_0,X_1)_{\theta_0,q_0},(X_0,X_1)_{\theta_1,q_1} )_{\alpha ,q}=(X_0,X_1)_{\theta,q} \\ \text{where} \quad \theta=(1-\alpha)\theta_0+ \alpha\theta_1 \end{gather}
が位相同型の意味で成立する。
さて、ではいきましょう。
(定理 M) は を満たしており、 とする。このとき任意の に対して
\begin{gather} (L^{p_0,q_0}(\Omega:X),L^{p_1,q_1}(\Omega:X))_{\theta,q}=L^{p,q}(\Omega:X) \\ \text{where} \quad \frac{1}{p}=\frac{1-\theta}{p_0}+\frac{\theta}{p_1} \end{gather}
が位相同型の意味で成立する。
いくつかのステップに分けて証明します。まずは の条件のもと
\begin{equation} (L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}=L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X) \end{equation}
を示しましょう。 のとき定理 Lより
\begin{equation}\begin{split} &\|f\|_{(L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}} \\ &=\Phi_{\theta,q} [K(\cdot,f,L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))] \\ &= \left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}K(t,f,L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X) ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1-1/p} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ t^{-\theta p} \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
ですが、ここで変数変換 より
\begin{equation}\begin{split} &\int_0^{\infty} \left\{ t^{-\theta p} \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \\ &= \int_0^{\infty} \left\{ t^{-\theta p} \int_0^1 ( f^*(t^p r) )^p t^p dr \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \\ &= \int_0^{\infty} \left\{ \int_0^1 rt^{(1-\theta)p} ( f^*(t^p r) )^p \frac{dr}{r} \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \end{split}\end{equation}
なので、 に注意して積分の normを中に入れれば、再び変数変換 より
\begin{equation}\begin{split} &\left[ \int_0^{\infty} \left\{ \int_0^1 rt^{(1-\theta)p} ( f^*(t^p r) )^p \frac{dr}{r} \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{p}{q}} \\ &\le \int_0^1 \left[ \int_0^{\infty} \left\{ rt^{(1-\theta)p} ( f^*(t^p r) )^p \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{p}{q}} \frac{dr}{r} \\ &= \int_0^1 \left\{ \int_0^{\infty} r^{\frac{q}{p}} ( t^{1-\theta}f^*(t^pr) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{p}{q}} \frac{dr}{r} \\ &= \int_0^1 \left\{ \int_0^{\infty} r^{\frac{q}{p}} ( (s/r)^{\frac{1-\theta}{p}}f^*(s) )^q \frac{(1/p)r^{-\frac{1}{p}}s^{\frac{1}{p}-1}ds}{r^{-\frac{1}{p}}s^{\frac{1}{p}}} \right\}^{\frac{p}{q}} \frac{dr}{r} \\ &= \int_0^1 \left\{ \int_0^{\infty} r^{\frac{q}{p}} r^{-\frac{(1-\theta)q}{p}} (s^{\frac{1-\theta}{p}}f^*(s) )^q \frac{ds}{ps} \right\}^{\frac{p}{q}} \frac{dr}{r} \\ &= \int_0^1 p^{-p/q}r^{\theta -1} \|f\|_{L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X)}^p dr \\ &= \theta^{-1}p^{-p/q} \|f\|_{L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X)}^p \end{split}\end{equation}
となります。ゆえに
\begin{equation}\begin{split} &\|f\|_{(L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1-1/p} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ \int_0^1 rt^{(1-\theta)p} ( f^*(t^p r) )^p \frac{dr}{r} \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{1}{q}} \\ &\le \max\{ 1,2^{1-1/p} \}\theta^{-1/p}p^{1/q}\|f\|_{L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X)} \end{split}\end{equation}
ですね。さて、一番初めの計算において定理 Lの逆側の不等式を用いれば
\begin{equation}\begin{split} &\|f\|_{(L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}} \\ &\ge \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ t^{-\theta p} \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
ですから、補題 Kおよび変数変換により
\begin{equation}\begin{split} &\|f\|_{(L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}} \\ &\ge \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ t^{-\theta p} \int_0^{t^p} ( f^*(t^p) )^p ds \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{1}{q}} \\ &\ge \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ t^{(1-\theta) p} ( f^*(t^p) )^p \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{dt}{t} \right]^{\frac{1}{q}} \\ &= \max\{ 1,2^{1/p-1} \} \left[ \int_0^{\infty} \left\{ s^{(1-\theta)} ( f^*(s) )^p \right\}^{\frac{q}{p}} \frac{(1/p)s^{\frac{1}{p}-1}ds}{s^{\frac{1}{p}}} \right]^{\frac{1}{q}} \\ &= \max\{ 1,2^{1/p-1} \} p^{-1/q} \left\{ \int_0^{\infty} ( s^{\frac{1-\theta}{p}} f^*(s) )^q \frac{ds}{s} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= \max\{ 1,2^{1/p-1} \} p^{-1/q}\|f\|_{L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X)} \end{split}\end{equation}
となって の場合は示されました!! の場合はもっとシンプルで、 なので任意の に対して であることに注意すれば
\begin{equation}\begin{split} &t^{-\theta}\left\{ \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le t^{-\theta}\left\{ \int_0^{t^p} s^{-(1-\theta)}\|f\|_{L^{p/(1-\theta),\infty}(\Omega:X)}^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &= t^{-\theta} \|f\|_{L^{p/(1-\theta),\infty}(\Omega:X)} \cdot \theta^{-1/p}t^{\theta} \\ &=\theta^{-1/p}\|f\|_{L^{p/(1-\theta),\infty}(\Omega:X)} \end{split}\end{equation}
および補題 Kより
\begin{equation}\begin{split} f^*(t^p) &= t^{-1}f^*(t^p)\left(\int_0^{t^p}ds\right)^{\frac{1}{p}} \\ &\le t^{-1}\left\{ \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le t^{-1+\theta}t^{-\theta}\left\{ \int_0^{t^p} ( f^*(s) )^p ds \right\}^{\frac{1}{p}} \\ &\le t^{-1+\theta} \|f\|_{(L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,\infty}} \end{split}\end{equation}
から を に置き換えればOKです。
さて、いま示したことは ならば
\begin{equation} (L^p(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\theta,q}=L^{p/(1-\theta),q}(\Omega:X) \end{equation}
でした。これをreiterationで拡張しましょう。まず上の関係から任意の に対して
\begin{equation}\begin{split} (L^{(1-\alpha_0)p_0}(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\alpha_0,q_0} &=L^{p_0,q_0}(\Omega:X) \\ (L^{(1-\alpha_1)p_1}(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X))_{\alpha_1,q_1} &=L^{p_1,q_1}(\Omega:X) \end{split}\end{equation}
とできます。ただし および ですね。さて、ここで は何でもよいですから、例えば および とすれば
\begin{equation} (1-\alpha_0)p_0=(1-\alpha_1)p_1=\frac{1}{2} \end{equation}
となります。ゆえに はなんでもよいですね。さてreiteration theoremより、任意の に対して とすれば、任意の に対して
\begin{equation}\begin{split} (L^{p_0,q_0}(\Omega:X),L^{p_1,q_1}(\Omega:X) )_{\theta,q} &= (L^{1/2}(\Omega:X),L^{\infty}(\Omega:X) )_{\alpha,q} \\ &=L^{\{2(1-\alpha)\}^{-1},q}(\Omega:X) \end{split}\end{equation}
ですね。さて、 とおくと、
\begin{equation}\begin{split} \frac{1}{p} &= 2(1-\alpha) \\ &=2\left\{ 1-(1-\theta)\alpha_0-\theta \alpha_1 \right\} \\ &= 2 -2(1-\theta)\left( 1-\frac{1}{2p_0} \right)-2\theta \left( 1-\frac{1}{2p_1} \right) \\ &= 2-2(1-\theta)+\frac{1-\theta}{p_0}-2\theta+\frac{\theta}{p_1} \\ &= \frac{1-\theta}{p_0}+\frac{\theta}{p_1} \end{split}\end{equation}
が分かります。ゆえにこれで証明終了です!!
かなり大変な議論が続きましたが、ようやく実補間の定理を示すことができましたね!!とりあえずここで一区切りということですが、reiteration theoremがあればかなりいろいろな実補間が扱えそうな気がしますので、もし気が向いたら続きもやってみようかなと思います。見てくださってありがとうございます。
実補間理論の勉強Part2
こんにちは。ひよこてんぷらです。
前回は実補間理論の勉強ということで、いくつかの関数空間を導入し、その性質を見てきましたね。
詳しいことは前回に譲るとして、今回はさらに続きをやっていきましょう!!定義をざっと述べておきましょう。
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) &=K(t,f,X_0,X_1) \\ &=\inf_{f=f_0+f_1 , \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1}\left\{\|f_0\|_{X_0}+t \|f_1\|_{X_1}\right\} \\ J(t,f) &=J(t,f,X_0,X_1) \\ &=\max\left\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\right\} \end{split}\end{equation}
および
\begin{equation} \Phi_{\theta,q}[\varphi ]=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \int_0^{\infty}(t^{-\theta}\varphi (t) )^q dt/t \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{0 \lt t \lt \infty}\{ t^{-\theta}\varphi (t) \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
として、
\begin{equation}\begin{split} K_{\theta,q}&=K_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0+X_1 \, \left| \, \|f\|_{K_{\theta,q}}=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot , f) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
また
\begin{equation}\mathscr{J}(f)=\left\{ u \, \left| \, u(t) \in X_0 \cap X_1 , \, f=\int_0^{\infty}u(t)\frac{dt}{t} \right.\right\}\end{equation}
に対して
\begin{equation}\begin{split} J_{\theta,q}&=J_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0 + X_1 \, \left| \, \|f\|_{J_{\theta,q}}=\inf_{u \in \mathscr{J}(f)}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot , u(\cdot) ) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
です。そして
\begin{equation} \lambda_{\theta,q}=\left\{ \{a_j\}_{j \in \mathbb{Z}} \subset \mathbb{R} \, \left| \, \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \lt \infty \right. \right\} \end{equation}
ただし
\begin{equation} \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}}=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} (2^{-j \theta}|a_j|)^q \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{j \in \mathbb{Z}}\{ 2^{-j \theta}|a_j| \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
でしたね。前回示したことをざっと書いておきます。
(補題 A)
\begin{equation}\left\{\begin{gathered} K(s,f)=0 \quad \text{for all} \quad s \ge 0 \quad \Longleftrightarrow \quad f = 0 \\ K(t,af) =|a| K(t,f) \quad a \in \mathbb{R} \\ K(t,f+g) \le K(t,f)+K(t,g) \end{gathered}\right.\end{equation}
が成立する。 の場合も同様。また、
\begin{equation}\left\{\begin{gathered} \Phi_{\theta,q}[\varphi]=0 \quad \Longleftrightarrow \quad \varphi \equiv 0 \\ \Phi_{\theta,q}[ a\varphi ] =a \Phi_{\theta,q}[ \varphi ] \quad a \ge 0 \\ \Phi_{\theta,q}[\varphi+\psi] \le \Phi_{\theta,q}[\varphi]+\Phi_{\theta,q}[\psi] \end{gathered}\right.\end{equation}
が成立し、 は単調増加である。
(補題 B)
(i) 任意の に対して は非負値単調増加凹関数である。また、 が成立する。
(ii) 任意の に対して は非負値単調増加凸関数である。また、 および が成立する。
(定理 C) はそれぞれnorm空間である(実際は完備性も従う)。
(補題 D) 次の不等式
\begin{equation} 2^{-\theta}(\log 2)^{1/q} \le \frac{\|f\|_{K_{\theta,q}}}{\|\{K(2^j,f)\}\|_{\lambda_{\theta,q}}} \le 2(\log 2)^{1/q} \end{equation}
が成立する。また と、ある列 が存在して
\begin{equation} \{J(2^j,u_j)\}_{j \in \mathbb{Z}} \in \lambda_{\theta,q} \quad \text{and} \quad f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}u_j \end{equation}
は同値であり、
\begin{equation} 2^{-\theta}(\log 2)^{-1+1/q} \le \frac{\|f\|_{J_{\theta,q}}}{\inf_{\{u_j\}} \|\{J(2^j,u_j)\}\|_{\lambda_{\theta,q}}} \le 2(\log 2)^{-1+1/q} \end{equation}
が成立する。
さて、では初めに次の積分を計算しておきましょう。変数変換 を用いて
\begin{equation}\begin{split} \Phi_{\theta,q}[ \min\{1,\cdot /s\} ] &=\left\{ \int_0^{\infty}(t^{-\theta}\min\{1,t/s\})^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=\left\{ \int_0^{\infty}( (sr)^{-\theta}\min\{1,r\})^q \frac{dr}{r} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= s^{-\theta}\left( \int_0^1 r^{(1-\theta)q} \frac{dr}{r}+ \int_1^{\infty}r^{-\theta q} \frac{dr}{r} \right)^{\frac{1}{q}} \\ &=s^{-\theta}\left\{ \frac{1}{(1-\theta)q}+\frac{1}{\theta q} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=\{\theta(1-\theta)q\}^{-1/q}s^{-\theta} \end{split}\end{equation}
ですね。 のときは と考えてください。これを(INT)とします。さて、ではいきましょう。
(定理 E)
(i) 任意の および に対して
\begin{equation} K(s,f) \le \{\theta(1-\theta)q\}^{1/q} s^{\theta} \|f\|_{K_{\theta,q}} \end{equation}
が成立する。
(ii) 任意の および に対して
\begin{equation} \|f\|_{J_{\theta,q}} \le 2(\log 2)^{-1}s^{-\theta}J(s,f) \end{equation}
が成立する。
(i) 補題 Bより すなわち なので、両辺に を作用させれば、補題 Aから
\begin{equation} K(s,f)\Phi_{\theta,q}[ \min\{1,\cdot /s\} ] \le \Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f)] =\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{equation}
が従います。(INT)から
\begin{equation} K(s,f) \le \{\theta(1-\theta)q\}^{1/q} s^{\theta} \|f\|_{K_{\theta,q}} \end{equation}
が分かりますね。
(ii) 任意の に対して であることより、定義関数 を用いて
\begin{equation} f = \int_{s/2}^s (\log 2)^{-1} f\frac{dt}{t}=\int_0^{\infty} (\log 2)^{-1}\chi_{(s/2,s)}(t)f \frac{dt}{t} \end{equation}
と書くことができます。ゆえに ならば
\begin{equation} u_s(t)=(\log 2)^{-1}\chi_{(s/2,s)}(t)f \in X_0 \cap X_1 \end{equation}
と定義すれば が言えますね。したがって の定義から が分かります。さて、補題 AおよびBより
\begin{equation}\begin{split} J(t,u_s(t) ) &= (\log 2)^{-1}\chi_{(s/2,s)}(t) J(t,f) \\ &\le (\log 2)^{-1}\chi_{(s/2,s)}(t) \max\{1,t/s\}J(s,f) \end{split}\end{equation}
とできるので、 を作用させましょう。補題 Aおよび変数変換 より
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{J_{\theta,q}} &\le \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,u_s(\cdot) ) ] \\ &\le (\log 2)^{-1} J(s,f) \Phi_{\theta,q} [\chi_{(s/2,s)}(\cdot) \max\{1,\cdot/s\} ] \\ &=(\log 2)^{-1}J(s,f) \left\{ \int_{s/2}^s (t^{-\theta}\max\{1,t/s\})^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=(\log 2)^{-1}J(s,f) \left\{ \int_{1/2}^1 ( (sr)^{-\theta}\max\{1,r\})^q \frac{dr}{r} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= (\log 2)^{-1}s^{-\theta}J(s,f) \left( \int_{1/2}^1 r^{-\theta q-1}dr \right)^{\frac{1}{q}} \\ &\le (\log 2)^{-1}s^{-\theta}J(s,f) \left\{ (1/2)^{-\theta q-1} \cdot (1/2) \right\}^{1/q} \\ &\le 2(\log 2)^{-1}s^{-\theta}J(s,f) \end{split}\end{equation}
で証明終了ですね。
(補題 F) に対して
\begin{equation} \lim_{t \to +0}K(t,f)=\lim_{t \to \infty}t^{-1}K(t,f)=0 \end{equation}
であるとする。このとき任意の に対して
\begin{equation} f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}u_j^{\varepsilon} \quad \text{and} \quad J(2^j,u_j^{\varepsilon}) \lt (3+\varepsilon)K(2^j,f) \end{equation}
を満たす列 が存在する。
さて、任意の に対して の定義、すなわち下限のより
\begin{equation}\begin{split} \|f_{j,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}+2^j\|f_{j,1}^{\varepsilon}\|_{X_1} &\lt K(2^j,f)+(\varepsilon /3) K(2^j,f) \\ &=(1+\varepsilon /3) K(2^j,f) \end{split}\end{equation}
なるような分解 が存在します。ゆえに仮定から
\begin{equation} \lim_{j \to -\infty}K(2^j,f)=\lim_{j \to \infty}2^{-j}K(2^j,f)=0 \end{equation}
であることに注意すれば、上式よりそれぞれ
\begin{equation} \lim_{j \to -\infty}\|f_{j,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}=\lim_{j \to \infty}\|f_{j,1}^{\varepsilon}\|_{X_1}=0 \end{equation}
が得られます。ここで分解
\begin{equation} f=f_{j,0}^{\varepsilon}+f_{j,1}^{\varepsilon}=f_{j-1,0}^{\varepsilon}+f_{j-1,1}^{\varepsilon} \end{equation}
に注意して、
\begin{equation} u_j^{\varepsilon}=-f_{j-1,0}^{\varepsilon}+f_{j,0}^{\varepsilon}=-f_{j,1}^{\varepsilon}+f_{j-1,1}^{\varepsilon} \end{equation}
と定義すれば が成立します。また、
\begin{equation}\begin{split} &f-\sum_{j=-N_1}^{N_2}u_j^{\varepsilon} \\ &=f-\left\{ (-f_{-N_1-1,0}^{\varepsilon}+f_{-N_1,0}^{\varepsilon})+\cdots +(-f_{N_2-1,0}^{\varepsilon}+f_{N_2,0}^{\varepsilon}) \right\} \\ &=f-(-f_{-N_1-1,0}^{\varepsilon}+f_{N_2,0}^{\varepsilon}) \\ &=f_{-N_1-1,0}^{\varepsilon}+f_{N_2,1}^{\varepsilon} \end{split}\end{equation}
なので、 normを計算すれば、下限の定義から
\begin{equation} \left\|f-\sum_{j=-N_1}^{N_2}u_j^{\varepsilon}\right\|_{X_0+X_1} \le\|f_{-N_1-1,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}+\|f_{N_2,1}^{\varepsilon}\|_{X_1} \end{equation}
となりますね。したがって上で確認したように、右辺は で に収束し、 が分かります。あとは初めに与えた不等式から
\begin{equation}\begin{split} &J(2^j,u_j^{\varepsilon}) \\ &=\max\left\{ \|u_j^{\varepsilon}\|_{X_0},2^j\|u_j^{\varepsilon}\|_{X_1} \right\} \\ &\le \max\left\{ \|f_{j-1,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}+\|f_{j,0}^{\varepsilon}\|_{X_0},2^j\|f_{j,1}^{\varepsilon}\|_{X_1}+2^j\|f_{j-1,1}^{\varepsilon}\|_{X_1} \right\} \\ &\le \left(\|f_{j-1,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}+2^j\|f_{j-1,1}^{\varepsilon}\|_{X_1}\right)+\left(\|f_{j,0}^{\varepsilon}\|_{X_0}+2^j\|f_{j,1}^{\varepsilon}\|_{X_1}\right) \\ &\le 2(1+\varepsilon /3)K(2^{j-1},f)+(1+\varepsilon /3)K(2^j,f) \\ &\le(3+\varepsilon)K(2^j,f) \end{split}\end{equation}
が分かります。
(定理 G) および に対して が位相同型の意味で成立し、さらに
\begin{equation} \theta (1-\theta)\|f\|_{K_{\theta,q}} \le \|f\|_{J_{\theta,q}} \le 6(\log 2)^{-1} 2^{\theta}\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{equation}
が成立する。
さて、任意の に対して定義から という表現を与えておきましょう。各 において ですから、下限の定義から任意の に対して
\begin{equation}\begin{split} \|u_0^{\varepsilon}(s)\|_{X_0}+t\|u_1^{\varepsilon}(s)\|_{X_1} &\lt K(t,u(s) )+\varepsilon K(t,u(s) ) \\ &=(1+\varepsilon) K(t,u(s) ) \end{split}\end{equation}
という分解 ができます。このとき
\begin{equation} f=\int_0^{\infty}u_0^{\varepsilon}(s)\frac{ds}{s}+\int_0^{\infty}u_1^{\varepsilon}(s)\frac{ds}{s} \end{equation}
ですから、
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) &\le \left\| \int_0^{\infty}u_0^{\varepsilon}(s)\frac{ds}{s} \right\|_{X_0}+t\left\| \int_0^{\infty}u_1^{\varepsilon}(s)\frac{ds}{s} \right\|_{X_1} \\ &\le \int_0^{\infty} \|u_0^{\varepsilon}(s)\|_{X_0} \frac{ds}{s}+\int_0^{\infty} t\|u_1^{\varepsilon}(s)\|_{X_1} \frac{ds}{s} \\ &\lt (1+\varepsilon)\int_0^{\infty} K(t, u(s) ) \frac{ds}{s} \end{split}\end{equation}
すなわち ですね。さて補題 Bおよび変数変換 により
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) &\le \int_0^{\infty} \min\{1,t/s\}J(s, u (s) ) \frac{ds}{s} \\ &= \int_0^{\infty} \min\{1,1/r\}J(tr, u (tr) ) \frac{dr}{r} \end{split}\end{equation}
となります。さてここで に を作用させると再び変数変換 により
\begin{equation}\begin{split} &\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}J(tr, u(tr) ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= \left\{ \int_0^{\infty} ( (s/r)^{-\theta}J(s, u(s) ) )^q \frac{ds}{s} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= r^{\theta}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )] \end{split}\end{equation}
が得られることに注意します。 でも同様ですね。作用素 は normの形をしているから積分の中に入れられます。変数変換 および(INT)より
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{K_{\theta,q}} &=\Phi_{\theta,q}[ K(\cdot,f) ] \\ &\le \int_0^{\infty} \min\{1,1/r\} r^{\theta}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )] \frac{dr}{r} \\ &= \Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )] \int_{\infty}^0 \min\{1,t\} t^{-\theta} \frac{(-1/t^2)dt}{1/t} \\ &= \Phi_{\theta,1}[\min\{1,\cdot\}]\Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )] \\ &=\{\theta(1-\theta)\}^{-1}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )] \end{split}\end{equation}
ですから、 という表現の下限をとって ですね。
では今度は逆です。任意の に対して、定理 Eより
\begin{equation} K(t,f) \le \{\theta(1-\theta)q\}^{1/q}t^{\theta}\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{equation}
が成立します。ゆえにこれは
\begin{equation} \lim_{t \to +0}K(t,f)=\lim_{t \to \infty}t^{-1}K(t,f)=0 \end{equation}
を満たしていますから、補題 Fより任意の に対して
\begin{equation} f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}u_j^{\varepsilon} \quad \text{and} \quad J(2^j,u_j^{\varepsilon}) \lt (3+\varepsilon)K(2^j,f) \end{equation}
を満たす列 が存在しますね。さて、数列空間 を思い出しましょう。両辺のnormをとると補題 Dより
\begin{equation}\begin{split} \|\{ J(2^j,u_j^{\varepsilon}) \}\|_{\lambda_{\theta,q}} &\le (3+\varepsilon)\|\{ K(2^j,f) \}\|_{\lambda_{\theta,q}} \\ &\le (3+\varepsilon)2^{\theta}(\log 2)^{-1/q}\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{split}\end{equation}
ですから、左辺の下限を考えて再び補題 Dから
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{J_{\theta,q}} &\le 2(\log 2)^{-1+1/q} \cdot (3+\varepsilon)2^{\theta}(\log 2)^{-1/q}\|f\|_{K_{\theta,q}} \\ &=2(3+\varepsilon)(\log 2)^{-1}2^{\theta}\|f\|_{K_{\theta,q}} \end{split}\end{equation}
ですね。ゆえに証明終了です!!
定理 Gが意味していることは、2つのBanach空間 から作られる空間 と は ならば同じ空間になるということです。これを念頭において、 と を の補間空間として と書くことにします。normも同様です。なお、 が または の場合は での定義を採用します。
さて、だいぶ疲れてきましたが、もう少し踏ん張りましょう!!ここで新たな定義を導入します。Banach空間 が連続埋め込みの意味で
\begin{equation} X_0 \cap X_1 \subset Y \subset X_0+X_1 \end{equation}
を満たしているとします。さらに、任意の に対して
\begin{equation} K(t,f,X_0,X_1) \le C_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y, \quad t \gt 0 \end{equation}
および任意の に対して
\begin{equation} \|f\|_Y \le C_{\theta}t^{-\theta}J(t,f,X_0,X_1), \quad t \gt 0 \end{equation}
が成立するとします。このとき と書くことにしましょう。
(補題 H)
(i) および が成立する。また、 ならば である。
(ii) 次の2つの条件
(a)
(b) 任意の および に対して なる が存在して
\begin{equation} \|f_0^t\|_{X_0} \le C'_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y \quad \text{and} \quad \|f_1^t\|_{X_1} \le C'_{\theta}t^{\theta -1}\|f\|_Y \end{equation}
および任意の に対して
\begin{equation} \|f\|_Y \le C_{\theta}\|f\|_{X_0}^{1-\theta}\|f\|_{X_1}^{\theta} \end{equation}
は同値である。
(i) および の定義から、任意の に対して
\begin{equation} K(t,f,X_0,X_1) =\inf_{f=f_0+f_1 , \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1}\left\{ \|f_0\|_{X_0}+t\|f_1\|_{X_1} \right\} \le \|f\|_{X_0} \end{equation}
および に対して
\begin{equation} J(t,f,X_0,X_1) =\max\left\{ \|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1} \right\} \ge \|f\|_{X_0} \end{equation}
より であり、上の不等式から同様の議論で も分かります。 に関しては定理 Eで既に示しています。
(ii) まず(a)を仮定します。すなわち とします。 の定義から、任意の および でない に対してある分解 ができて
\begin{equation} \|f_0^t\|_{X_0}+t\|f_1^t\|_{X_1} \lt 2K(t,f,X_0,X_1) \le 2C_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y \end{equation}
が成立します。これより直ちに
\begin{equation} \|f_0^t\|_{X_0} \le 2C_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y \quad \text{and} \quad \|f_1^t\|_{X_1} \le 2C_{\theta}t^{\theta -1}\|f\|_Y \end{equation}
です。さらに任意の でない に対して の定義から
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_Y &\le C_{\theta}t^{-\theta}J(t,f,X_0,X_1) \\ &=C_{\theta}t^{-\theta}\max\left\{ \|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1} \right\} \\ &=C_{\theta}\max\left\{ t^{-\theta}\|f\|_{X_0},t^{1-\theta}\|f\|_{X_1} \right\} \end{split}\end{equation}
なので、 とおけば が得られます。
逆を示しましょう。(b)を仮定します。任意の および に対して
\begin{equation} \|f_0^t\|_{X_0} \le C'_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y \quad \text{and} \quad \|f_1^t\|_{X_1} \le C'_{\theta}t^{\theta -1}\|f\|_Y \end{equation}
なる分解ができるので、 であり、 の定義から
\begin{equation} K(t,f,X_0,X_1) \le \|f_0^t\|_{X_0}+t\|f_1^t\|_{X_1} \le 2C'_{\theta}t^{\theta}\|f\|_Y \end{equation}
が分かります。また任意の に対して
\begin{equation} \|f\|_Y \le C_{\theta}\|f\|_{X_0}^{1-\theta}\|f\|_{X_1}^{\theta} \end{equation}
なので、 の定義から
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_Y &\le C_{\theta}t^{-\theta}\|f\|_{X_0}^{1-\theta}(t\|f\|_{X_1})^{\theta} \\ &\le C_{\theta}t^{-\theta}\{J(t,f,X_0,X_1)\}^{1-\theta}\{J(t,f,X_0,X_1)\}^{\theta} \\ &=C_{\theta}t^{-\theta}J(t,f,X_0,X_1) \end{split}\end{equation}
です。これらより が分かりますね。
さて、最後に補間論における超重要なreiteration theoremを証明して終わりにしましょう!!
(定理 I)
(i) をBanach空間とする。 なる に対して かつ ならば、任意の および に対して
\begin{equation} (X_0,X_1)_{\theta,q}=(Y_0,Y_1)_{\alpha ,q} \quad \text{where} \quad \theta=(1-\alpha)\theta_0+ \alpha\theta_1 \end{equation}
が位相同型の意味で成立する。
(ii) 任意の なる および また に対して
\begin{gather} ( (X_0,X_1)_{\theta_0,q_0},(X_0,X_1)_{\theta_1,q_1} )_{\alpha ,q}=(X_0,X_1)_{\theta,q} \\ \text{where} \quad \theta=(1-\alpha)\theta_0+ \alpha\theta_1 \end{gather}
が位相同型の意味で成立する。
(i) それぞれの包含関係を見ましょう。初めに を仮定します。このとき なので と分解できます。さて、仮定から および なので、補題 AおよびHより
\begin{equation}\begin{split} K(t,f,X_0,X_1) &\le K(t,f_0,X_0,X_1)+K(t,f_1,X_0,X_1) \\ &\le C_{\theta_0}t^{\theta_0}\|f_0\|_{Y_0}+C_{\theta_1}t^{\theta_1}\|f_1\|_{Y_1} \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1}t^{\theta_0}\left( \|f_0\|_{Y_0}+t^{\theta_1-\theta_0}\|f_1\|_{Y_1} \right) \end{split}\end{equation}
が得られます。さてこの分解の下限を考えれば
\begin{equation} K(t,f,X_0,X_1) \le C_{\theta_0,\theta_1} t^{\theta_0} K(t^{\theta_1-\theta_0},f,Y_0,Y_1) \end{equation}
ですね。両辺に を作用させると、補題 Aより に対して
\begin{equation}\begin{split} &\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f,X_0,X_1)] \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1}\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}t^{\theta_0}K(t^{\theta_1-\theta_0},f,Y_0,Y_1) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
が得られます。さて、 ですから
\begin{equation} t^{-\theta}t^{\theta_0}=t^{-(1-\alpha)\theta_0-\alpha \theta_1+\theta_0}=t^{-\alpha (\theta_1-\theta_0)} \end{equation}
という変形を念頭に置くと、変数変換 が使えそうです。ここでは としておきます。このとき
\begin{equation}\begin{split} &\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f,X_0,X_1)] \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1}\left\{ \int_0^{\infty} (s^{-\alpha}K(s,f,Y_0,Y_1) )^q \frac{(\theta_1-\theta_0)^{-1}s^{(\theta_1-\theta_0)^{-1}-1}ds}{s^{(\theta_1-\theta_0)^{-1}}} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= C_{\theta_0,\theta_1} (\theta_1-\theta_0)^{-1/q}\Phi_{\alpha,q}[K(\cdot,f,Y_0,Y_1)] \end{split}\end{equation}
より が分かりますね。
では逆はどうでしょうか。 としましょう。ここで なる表現を与えておきます。上で示した不等式を逆から計算していくと
\begin{equation}\begin{split} & (\theta_1-\theta_0)^{-1/q}\|f\|_{(Y_0,Y_1)_{\alpha,q}} \\ &= (\theta_1-\theta_0)^{-1/q}\Phi_{\alpha,q}[K(\cdot,f,Y_0,Y_1)] \\ &=\left\{ \int_0^{\infty} (s^{-\alpha}K(s,f,Y_0,Y_1) )^q \frac{(\theta_1-\theta_0)^{-1}s^{(\theta_1-\theta_0)^{-1}-1}ds}{s^{(\theta_1-\theta_0)^{-1}}} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= \left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}t^{\theta_0}K(t^{\theta_1-\theta_0},f,Y_0,Y_1) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
ということで、この右辺が有限値になることを見ていきましょう。ということで を調べます。定理 Gで示したのと同様に
\begin{equation} t^{\theta_0}K(t^{\theta_1-\theta_0},f,Y_0,Y_1) \le \int_0^{\infty} t^{\theta_0} K(t^{\theta_1-\theta_0},u(s),Y_0,Y_1) \frac{ds}{s} \end{equation}
とできます。さて、 および より
\begin{equation}\begin{split} \|u(s)\|_{Y_0} &\le C_{\theta_0}s^{-\theta_0}J(s,u(s),X_0,X_1) \\ \|u(s)\|_{Y_1} &\le C_{\theta_1}s^{-\theta_1}J(s,u(s),X_0,X_1) \end{split}\end{equation}
なので、補題 Bより
\begin{equation}\begin{split} &K(t^{\theta_1-\theta_0},u(s),Y_0,Y_1) \\ &\le \min\{ 1,(t/s)^{\theta_1-\theta_0} \} J(s^{\theta_1-\theta_0},u(s),Y_0,Y_1) \\ &=\min\{ 1,(t/s)^{\theta_1-\theta_0} \} \max\left\{ \|u(s)\|_{Y_0},s^{\theta_1-\theta_0}\|u(s)\|_{Y_1} \right\} \\ &\le \min\{ 1,(t/s)^{\theta_1-\theta_0} \} \cdot C_{\theta_0,\theta_1}s^{-\theta_0}J(s,u(s),X_0,X_1) \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1}t^{-\theta_0}\min\{ (t/s)^{\theta_0},(t/s)^{\theta_1} \}J(s,u(s),X_0,X_1) \end{split}\end{equation}
となります。変数変換 を用いて上の積分を計算しましょう。
\begin{equation}\begin{split} &t^{\theta_0}K(t^{\theta_1-\theta_0},f,Y_0,Y_1) \\ &\le \int_0^{\infty} t^{\theta_0} K(t^{\theta_1-\theta_0},u(s),Y_0,Y_1) \frac{ds}{s} \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1} \int_0^{\infty} \min\{ (t/s)^{\theta_0},(t/s)^{\theta_1} \} J(s,u(s),X_0,X_1) \frac{ds}{s} \\ &= C_{\theta_0,\theta_1} \int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0},r^{-\theta_1} \} J(tr,u(tr),X_0,X_1) \frac{dr}{r} \end{split}\end{equation}
さて、後は補題 Aより両辺に を作用させて右辺の収束を見ればよいです。 は normの形を持ちますから積分の中に入れることができます。さて、変数変換 により
\begin{equation}\begin{split} &\int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0},r^{-\theta_1} \}\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}J(tr,u(tr),X_0,X_1) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \frac{dr}{r} \\ &=\int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0-1},r^{-\theta_1-1} \}\left\{ \int_0^{\infty} ( (s/r)^{-\theta}J(s,u(s),X_0,X_1) )^q \frac{ds}{s} \right\}^{\frac{1}{q}} dr \\ &= \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,u(\cdot),X_0,X_1) ] \int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0-1},r^{-\theta_1-1} \} r^{\theta} dr \end{split}\end{equation}
となるわけですが、 より
\begin{gather} r^{-\theta_0-1}r^{\theta}=r^{-\theta_0-1+(1-\alpha)\theta_0+\alpha \theta_1}=r^{\alpha (\theta_1-\theta_0)-1} \\ r^{-\theta_1-1}r^{\theta}=r^{-\theta_1-1+(1-\alpha)\theta_0+\alpha \theta_1} =r^{-(1-\alpha)(\theta_1-\theta_0)-1} \end{gather}
なので、ちょうど符号が異なり積分が収束します。実際、例えば なら
\begin{equation}\begin{split} &\int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0-1},r^{-\theta_1-1} \} r^{\theta} dr \\ &=\int_0^1 r^{\alpha (\theta_1-\theta_0)-1}dr+\int_1^{\infty} r^{-(1-\alpha)(\theta_1-\theta_0)-1}dr \\ &=\frac{1}{\alpha (\theta_1-\theta_0)}+\frac{1}{(1-\alpha)(\theta_1-\theta_0)} \\ &=\{ \alpha (1-\alpha)(\theta_1-\theta_0) \}^{-1} \end{split}\end{equation}
ですね。したがって
\begin{equation}\begin{split} &(\theta_1-\theta_0)^{-1/q}\|f\|_{(Y_0,Y_1)_{\alpha,q}} \\ &\le C_{\theta_0,\theta_1}\int_0^{\infty} \min\{ r^{-\theta_0},r^{-\theta_1} \}\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}J(tr,u(tr),X_0,X_1) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \frac{dr}{r} \\ &= C_{\theta_0,\theta_1}\{ \alpha (1-\alpha)(\theta_1-\theta_0) \}^{-1}\Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,u(\cdot),X_0,X_1) ] \end{split}\end{equation}
であり、表現 の下限をとって結論を得ます。
(ii) 補題 Hより および なので、 の代わりにこれを用いれば結論を得ます。
さて、今回は少し長くなってしまいましたがこのくらいにしておきましょう。抽象論はこの程度にして、次回は具体的な理論を考えていきたいと思います。
実補間理論の勉強
こんにちは。ひよこてんぷらです。実補間理論をやりましょう。
過去にも少しやりましたが、もっと掘り下げてしっかりと定式化していきます。最終的なゴールはLorentz空間の補間理論あたりまで見ていきたいですね。なお、Bergh-Löfströmを参考にしています。さて、ではまずは定義から確認していきましょう。
まずは をBanach空間とします。次の2つのBanach空間
\begin{equation}\begin{split} X_0+X_1&=\{ f_0+f_1 \, | \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1 \} \\ \|f\|_{X_0+X_1}&=\inf_{f=f_0+f_1 , \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1}\left\{\|f_0\|_{X_0}+ \|f_1\|_{X_1}\right\} \\ X_0 \cap X_1 &=\{ f \, | \, f \in X_0 , \, f \in X_1 \} \\ \|f\|_{X_0 \cap X_1}&=\max\left\{\|f\|_{X_0},\|f\|_{X_1}\right\} \end{split}\end{equation}
に対して、それぞれ関数
\begin{gather} K: [0,\infty) \times (X_0+X_1) \to \mathbb{R} \\ J: [0,\infty) \times (X_0 \cap X_1) \to \mathbb{R} \end{gather}
を
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) &=K(t,f,X_0,X_1) \\ &=\inf_{f=f_0+f_1 , \, (f_0,f_1) \in X_0 \times X_1}\left\{\|f_0\|_{X_0}+t \|f_1\|_{X_1}\right\} \\ J(t,f) &=J(t,f,X_0,X_1) \\ &=\max\left\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\right\} \end{split}\end{equation}
と定義しましょう。 および とし、 上の非負値関数 に対して
\begin{equation} \Phi_{\theta,q}[\varphi ]=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \int_0^{\infty}(t^{-\theta}\varphi (t) )^q dt/t \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{0 \lt t \lt \infty}\{ t^{-\theta}\varphi (t) \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
とおきましょう。ここで
\begin{equation}\begin{split} K_{\theta,q}&=K_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0+X_1 \, \left| \, \|f\|_{K_{\theta,q}}=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot , f) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
とします。他方、
\begin{equation}\mathscr{J}(f)=\left\{ u \, \left| \, u(t) \in X_0 \cap X_1 , \, f=\int_0^{\infty}u(t)\frac{dt}{t} \right.\right\}\end{equation}
に対して
\begin{equation}\begin{split} J_{\theta,q}&=J_{\theta,q}(X_0,X_1) \\ &=\left\{ f \in X_0 + X_1 \, \left| \, \|f\|_{J_{\theta,q}}=\inf_{u \in \mathscr{J}(f)}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot , u(\cdot) ) ] \lt \infty \right.\right\} \end{split}\end{equation}
とします。そして
\begin{equation} \lambda_{\theta,q}=\left\{ \{a_j\}_{j \in \mathbb{Z}} \subset \mathbb{R} \, \left| \, \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \lt \infty \right. \right\} \end{equation}
を定義します。ただし
\begin{equation} \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}}=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} (2^{-j \theta}|a_j|)^q \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{j \in \mathbb{Z}}\{ 2^{-j \theta}|a_j| \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
としましょう。
さて、これでいったん定義は終了です。このような定義のもと、どのようなことが示されていくかを順に確認していきましょう。
(補題 A)
(i) 任意の および に対して
\begin{equation}\left\{\begin{gathered} K(s,f)=0 \quad \text{for all} \quad s \ge 0 \quad \Longleftrightarrow \quad f = 0 \\ K(t,af) =|a| K(t,f) \\ K(t,f+g) \le K(t,f)+K(t,g) \end{gathered}\right.\end{equation}
が成立する。
(ii) 任意の および に対して
\begin{equation}\left\{\begin{gathered} J(s,f)=0 \quad \text{for all} \quad s \ge 0 \quad \Longleftrightarrow \quad f = 0 \\ J(t,af) =|a| J(t,f) \\ J(t,f+g) \le J(t,f)+J(t,g) \end{gathered}\right.\end{equation}
が成立する。
(iii) 任意の および 上の非負値関数 に対して
\begin{equation}\left\{\begin{gathered} \Phi_{\theta,q}[\varphi]=0 \quad \Longleftrightarrow \quad \varphi \equiv 0 \\ \Phi_{\theta,q}[ a\varphi ] =a \Phi_{\theta,q}[ \varphi ] \\ \Phi_{\theta,q}[\varphi+\psi] \le \Phi_{\theta,q}[\varphi]+\Phi_{\theta,q}[\psi] \end{gathered}\right.\end{equation}
が成立する。また、 は単調増加である。
(i) と分解しておきます。 がBanach空間であることは認めて(意外にもこれがめんどくさそう)、定義より
\begin{equation} \|f\|_{X_0+X_1}=K(1,f)=0 \quad \Longrightarrow \quad f = 0 \end{equation}
を得ます。また、 より
\begin{equation}\begin{split} K(t,af) &\le \|af_0\|_{X_0}+t\|af_1\|_{X_1} \\ &= |a| \left( \|f_0\|_{X_0}+t\|f_1\|_{X_1} \right) \end{split}\end{equation}
であり、 とすると ですから
\begin{equation}\begin{split} |a|K(t,f) &\le |a|\left(\|a^{-1}f_0^a\|_{X_0}+t\|a^{-1}f_1^a\|_{X_1}\right) \\ &= \|f_0^a\|_{X_0}+t\|f_1^a\|_{X_1} \end{split}\end{equation}
です。それぞれ下限をとって となりますね。一方で より
\begin{equation}\begin{split} K(t,f+g) &\le \|f_0+g_0\|_{X_0}+t\|f_1+g_1\|_{X_1} \\ &\le \left(\|f_0\|_{X_0}+t\|f_1\|_{X_1}\right)+\left(\|g_0\|_{X_0}+t\|g_1\|_{X_1}\right) \end{split}\end{equation}
ですから、再び下限をとって です。
(ii) より であり、
\begin{equation}\begin{split} J(t,af)&=\max\left\{\|af\|_{X_0},t\|af\|_{X_1}\right\} \\ &=|a|\max\left\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\right\} \\ &=|a|J(t,f) \\ J(t,f+g) &=\max\left\{ \|f+g\|_{X_0},t\|f+g\|_{X_1} \right\} \\ &\le \max\left\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\right\}+\max\left\{\|g\|_{X_0},t\|g\|_{X_1}\right\} \\ &=J(t,f)+J(t,g) \end{split}\end{equation}
ですね。
(iii) 定義より
\begin{equation} \Phi_{\theta,q}[\varphi ]=\left\{ \begin{array}{cl} \left\{ \int_0^{\infty}(t^{-\theta}\varphi (t) )^q dt/t \right\}^{1/q} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, 1 \le q \lt \infty ) \\ \sup_{0 \lt t \lt \infty}\{ t^{-\theta}\varphi (t) \} & ( 0 \le \theta \le 1 , \, q=\infty ) \end{array}\right. \end{equation}
ですから、 という測度を考えれば とできます。ゆえに normの性質を用いればよいですね。
(補題 B)
(i) 任意の に対して は非負値単調増加凹関数である。また、 が成立する。
(ii) 任意の に対して は非負値単調増加凸関数である。また、 および が成立する。
(i) 非負値単調増加性は明らかです。凹性もすぐ分かります。実際、 としたとき、任意の と に対して
\begin{equation}\begin{split} &\|f_0\|_{X_0}+(at_0+(1-a)t_1)\|f_1\|_{X_1} \\ &=a\left( \|f_0\|_{X_0}+t_0\|f_1\|_{X_1} \right)+(1-a)\left(\|f_0\|_{X_0}+t_1\|f_1\|_{X_1}\right) \\ &\ge aK(t_0,f)+(1-a)K(t_1,f) \end{split}\end{equation}
ですから、左辺の下限をとって
\begin{equation} K(at_0+(1-a)t_1,f) \ge aK(t_0,f)+(1-a)K(t_1,f) \end{equation}
ですね。また、
\begin{equation}\begin{split} K(t,f) \le \|f_0\|_{X_0}+t\|f_1\|_{X_1} \le \max\{1,t/s\}\left(\|f_0\|_{X_0}+s\|f_1\|_{X_1}\right) \end{split}\end{equation}
より再び下限をとって となります。
(ii) (i)と同様に示しましょう。すなわち に対して
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{X_0}&=a\|f\|_{X_0}+(1-a)\|f\|_{X_0} \\ &\le aJ(t_0,f)+(1-a)J(t_1,f) \end{split}\end{equation}
および
\begin{equation}\begin{split} \left(at_0+(1-a)t_1\right)\|f\|_{X_1} &=a \cdot t_0\|f\|_{X_1}+(1-a) \cdot t_1\|f\|_{X_1} \\ &\le aJ(t_0,f)+(1-a)J(t_1,f) \end{split}\end{equation}
より
\begin{equation} J(at_0+(1-a)t_1,f) \le aJ(t_0,f)+(1-a)J(t_1,f) \end{equation}
となり凸性はOKですね。そして
\begin{equation}\begin{split} J(t,f) &=\max\{\|f\|_{X_0},t\|f\|_{X_1}\} \\ &\le \max\{1,t/s\}\max\{ \|f\|_{X_0},s\|f\|_{X_1} \} \\ &=\max\{1,t/s\}J(s,f) \end{split}\end{equation}
もすぐ分かります。他方、 ですから とみることができます。同様に とも思えますね。したがって
\begin{equation} K(t,f) \le \|f\|_{X_0}+t\|0\|_{X_1} =\|f\|_{X_0} \le J(s,f) \end{equation}
および
\begin{equation} K(t,f) \le \|0\|_{X_0}+t\|f\|_{X_1} =(t/s) \cdot s\|f\|_{X_1} \le (t/s)J(s,f) \end{equation}
が成立するので、 です。
(定理 C) はそれぞれnorm空間である(実際は完備性も従う)。
さて、まずは について、任意の および に対して補題 Aより
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{K_{\theta,q}}&=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f)]=0 \\ &\Longrightarrow \quad K(t,f) =0 \quad \text{for all} \quad t \ge 0 \\ &\Longrightarrow \quad f = 0 \\ \|af\|_{K_{\theta,q}} &=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,af)] \\ &=\Phi_{\theta,q}[|a|K(\cdot,f)] \\ &=|a|\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f)] \\ &=|a|\|f\|_{K_{\theta,q}} \\ \|f+g\|_{K_{\theta,q}} &=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f+g)] \\ &\le \Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f)+K(\cdot,g)] \\ &\le \Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f)] +\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,g)] \\ &=\|f\|_{K_{\theta,q}}+\|g\|_{K_{\theta,q}} \end{split}\end{equation}
ですね。最後の三角不等式では の単調増加性を用いています。
さて については定義が下限で与えられているので少しめんどくさいです。まずは に対して の定義から という表現を与えておきましょう。任意の に対して なので、下限の定義および補題 Aから
\begin{equation}\begin{split} \|af\|_{J_{\theta,q}} &\le \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,a u(\cdot) ) ] \\ &=\Phi_{\theta,q}[ |a|J(\cdot, u(\cdot) ) ] \\ &=|a|\Phi_{\theta,q}[ J(\cdot, u(\cdot) ) ] \end{split}\end{equation}
より右辺の下限をとって ですね。また に対して とすると、定義より という表現があり、すなわち なので、補題 Aより
\begin{equation}\begin{split} |a|\|f\|_{J_{\theta,q}} &\le |a|\Phi_{\theta,q}[ J(\cdot, a^{-1}u_a(\cdot) ) ] \\ &=\Phi_{\theta,q}[ |a|J(\cdot, a^{-1}u_a(\cdot) ) ] \\ &=\Phi_{\theta,q}[ J(\cdot, u_a(\cdot) ) ] \end{split}\end{equation}
です。やはり下限をとって ですね。三角不等式も同様です。 として補題 Aより
\begin{equation}\begin{split} \|f+g\|_{J_{\theta,q}} &\le \Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot)+v(\cdot) )] \\ &\le \Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )+ J(\cdot,v(\cdot) )] \\ &\le \Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u(\cdot) )]+\Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,v(\cdot) )] \end{split}\end{equation}
で、右辺の下限をとればよいです。さて、最後に ならば についてですが、これはけっこうめんどいです。 および の場合を考えましょう。Hölder共役 を考え、次の定数
\begin{equation} M= (\theta q')^{-1/q'}+\{ (1-\theta)q' \}^{-1/q'} \end{equation}
を与えておきます。さて とするとき、下限の定義から任意の に対して
\begin{equation} \Phi_{\theta,q}[J(\cdot, u_{\varepsilon}(\cdot) )] \lt \|f\|_{J_{\theta,q}}+\varepsilon /M \end{equation}
なる がとれます。 の定義から なので、補題 Bより
\begin{equation} \|u_{\varepsilon}(t)\|_{X_0+X_1}=K(1,u_{\varepsilon}(t) ) \le \min\{1,1/t\}J(t,u_{\varepsilon}(t) )\end{equation}
となります。 の定義から なので、Hölderの不等式より
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{X_0+X_1} &\le \int_0^{\infty}\|u_{\varepsilon}(t)\|_{X_0+X_1} \frac{dt}{t} \\ &\le \left( \int_0^1+\int_1^{\infty} \right) \min\{1,1/t\}J(t,u_{\varepsilon}(t) ) \frac{dt}{t} \\ &=\int_0^1 J(t,u_{\varepsilon}(t) ) \frac{dt}{t}+\int_1^{\infty} (1/t) \cdot J(t,u_{\varepsilon}(t) ) \frac{dt}{t} \\ &\le \left( \int_0^1 t^{\theta q'} \frac{dt}{t} \right)^{\frac{1}{q'}}\left\{ \int_0^1 (t^{-\theta}J(t,u_{\varepsilon}(t) ) )^q\frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &+ \left( \int_1^{\infty} t^{-(1-\theta) q'} \frac{dt}{t} \right)^{\frac{1}{q'}}\left\{ \int_1^{\infty} (t^{-\theta}J(t,u_{\varepsilon}(t) ) )^q\frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &\le (\theta q')^{-1/q'}\Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u_{\varepsilon}(\cdot) )] \\ &+\{ (1-\theta)q' \}^{-1/q'} \Phi_{\theta,q}[J(\cdot,u_{\varepsilon}(\cdot) )] \\ &\lt M \|f\|_{J_{\theta,q}}+\varepsilon \end{split}\end{equation}
を得ます。ゆえにもし ならば なので、 ですね。これで証明終了です。
次に数列空間 との関係を見ていきましょう。
(補題 D)
(i) に対して とおくと、
\begin{equation} f \in K_{\theta,q} \quad \Longleftrightarrow \quad \{a_j\}_{j \in \mathbb{Z}} \in \lambda_{\theta,q} \end{equation}
および
\begin{equation} 2^{-\theta}(\log 2)^{1/q} \le \frac{\|f\|_{K_{\theta,q}}}{\|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}}} \le 2(\log 2)^{1/q} \end{equation}
が成立する。
(ii) 次の2つの条件
(a)
(b) ある列 が存在して、
\begin{equation} \{J(2^j,u_j)\}_{j \in \mathbb{Z}} \in \lambda_{\theta,q} \quad \text{and} \quad f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}u_j \end{equation}
は同値である。さらに、
\begin{equation} 2^{-\theta}(\log 2)^{-1+1/q} \le \frac{\|f\|_{J_{\theta,q}}}{\inf_{\{u_j\}} \|\{J(2^j,u_j)\}\|_{\lambda_{\theta,q}}} \le 2(\log 2)^{-1+1/q} \end{equation}
が成立する。ただし、下限は(b)を満たすようなすべての列 に対するものとする。
(i) さて、 の場合を示しましょう。定義から
\begin{equation}\begin{split} \|f\|_{K_{\theta,q}}&=\Phi_{\theta,q}[K(\cdot,f) ] \\ &=\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}K(t,f) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=\left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}}\int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}K(t,f) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
となることに注意しましょう。さて、補題 Bより に対して
\begin{gather} K(t,f) \le \max\{1,t/2^j\}K(2^j,f) \le 2K(2^j,f) \\ K(2^j,f) \le \max\{1,2^j/t\}K(t,f) \le K(t,f) \end{gather}
であり、すなわち が分かります。さて、 ならば であり、また仮定から なので、これらより
\begin{equation} 2^{-\theta}2^{-j\theta}a_j \le t^{-\theta}K(t,f) \le 2 \cdot 2^{-j \theta}a_j \end{equation}
が分かりますね。あとは形を合わせて積分すればOKです。実際、
\begin{equation} 2^{-\theta}\left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}}\frac{dt}{t}(2^{-j\theta}a_j)^q \right\}^{\frac{1}{q}} \le \|f\|_{K_{\theta,q}} \le 2\left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}}\frac{dt}{t}(2^{-j\theta}a_j)^q \right\}^{\frac{1}{q}} \end{equation}
より
\begin{equation} 2^{-\theta}(\log 2)^{1/q} \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \le \|f\|_{K_{\theta,q}} \le 2(\log 2)^{1/q} \|\{a_j\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \end{equation}
ですね。
(ii) 同じく の場合を考えます。まずは(a)を仮定します。すなわち とするわけですが、定義から という表現を持ちます。さて、(i)と同じように考えましょう。
\begin{equation}\begin{split} \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,u(\cdot)) ] &=\left\{ \int_0^{\infty} (t^{-\theta}J(t,u(t) ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=\left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}J(t,u(t) ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
という分解を念頭において考えます。ここで とすると ですね。さて、
\begin{equation}\begin{split} 2^{-j\theta}\|u_j\|_{X_0} &\le \int_{2^j}^{2^{j+1}}2^{-j\theta}\|u(t)\|_{X_0}\frac{dt}{t} \\ &\le \int_{2^j}^{2^{j+1}}2^{\theta}t^{-\theta}\|u(t)\|_{X_0}\frac{dt}{t} \\ 2^{-j\theta}2^j\|u_j\|_{X_1} &\le \int_{2^j}^{2^{j+1}}2^{-j\theta}2^j\|u(t)\|_{X_1}\frac{dt}{t} \\ &\le \int_{2^j}^{2^{j+1}} 2^{\theta}t^{-\theta} \cdot t\|u(t)\|_{X_1}\frac{dt}{t} \end{split}\end{equation}
ですから、
\begin{equation}\begin{split} J(2^j,u_j)&=\max\left\{ \|u_j\|_{X_0},2^j\|u_j\|_{X_1} \right\} \\ J(t,u(t) )&=\max\left\{ \|u(t)\|_{X_0},t\|u(t)\|_{X_1} \right\} \end{split}\end{equation}
を念頭に置くと
\begin{equation} 2^{-j\theta}J(2^j,u_j) \le 2^{\theta}\int_{2^j}^{2^{j+1}} t^{-\theta}J(t,u(t) )\frac{dt}{t} \end{equation}
となりますね。さて、Hölderの不等式を用いて
\begin{equation}\begin{split} &2^{\theta}\int_{2^j}^{2^{j+1}} t^{-\theta}J(t,u(t) )\frac{dt}{t} \\ &\le 2^{\theta}\left\{\int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}J(t,u(t) ))^q\frac{dt}{t}\right\}^{\frac{1}{q}}\left(\int_{2^j}^{2^{j+1}} \frac{dt}{t}\right)^{1-\frac{1}{q}} \\ &= 2^{\theta}(\log 2)^{1-1/q}\left\{\int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}J(t,u(t) ))^q\frac{dt}{t}\right\}^{\frac{1}{q}} \end{split}\end{equation}
ですから、
\begin{equation}\begin{split} \|\{J(2^j,u_j)\}\|_{\lambda_{\theta,q}} &= \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} (2^{-j\theta}J(2^j,u_j) )^q \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &\le 2^{\theta}(\log 2)^{1-1/q}\left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}J(t,u(t) ))^q\frac{dt}{t}\right\}^{\frac{1}{q}} \\ &=2^{\theta}(\log 2)^{1-1/q} \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot,u(\cdot) ) ] \end{split}\end{equation}
ですね。初めに なる を考えたので、右辺の下限を考えれば
\begin{equation} \inf_{\{b_j\}} \|\{J(2^j,u_j)\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \le 2^{\theta}(\log 2)^{1-1/q} \|f\|_{J_{\theta,q}} \end{equation}
となります。
次は逆です。(b)を仮定します。つまり
\begin{equation} \{J(2^j,u_j)\}_{j \in \mathbb{Z}} \in \lambda_{\theta,q} \quad \text{and} \quad f=\sum_{j \in \mathbb{Z}}u_j \end{equation}
なる列 を考えましょう。各 に対して とすれば、 より
\begin{equation} \int_0^{\infty} u(t)\frac{dt}{t} = \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}} (\log 2)^{-1}u_j \frac{dt}{t} =\sum_{j \in \mathbb{Z}} u_j =f \end{equation}
すなわち を得ます。ここで
\begin{equation} \|u(t)\|_{X_0}=(\log 2)^{-1}\|u_j\|_{X_0} , \quad t\|u(t)\|_{X_1} \le (\log 2)^{-1}2^{j+1}\|u_j\|_{X_1} \end{equation}
より ですから、
\begin{equation}\begin{split} \Phi_{\theta,q}[ J(\cdot, u(\cdot) ) ] &= \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}} (t^{-\theta}J(t,u(t) ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &\le 2(\log 2)^{-1} \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}} \int_{2^j}^{2^{j+1}} (2^{-j\theta}J(2^j,u_j ) )^q \frac{dt}{t} \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &\le 2(\log 2)^{-1+1/q} \left\{ \sum_{j \in \mathbb{Z}}(2^{-j\theta}J(2^j,u_j ) )^q \right\}^{\frac{1}{q}} \\ &= 2(\log 2)^{-1+1/q} \|\{ J(2^j,u_j) \}\|_{\lambda_{\theta,q}} \end{split}\end{equation}
となり、やはり下限を考えれば
\begin{equation} \|f\|_{J_{\theta,q}} \le 2(\log 2)^{-1+1/q} \inf_{\{u_j\}} \|\{J(2^j,u_j)\}\|_{\lambda_{\theta,q}} \end{equation}
として結論を得ます。
さて、今回はこのくらいにしておきましょう。次回も頑張ります。