修論発表したくないよぉ~

こんにちは。ひよこてんぷらです。

 

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なんとか大変な英語での修論執筆作業を終え、一息ついたと思ったのですが、すぐさま先生から「解析性もよろしく」と連絡が来ました。ヒェ……

 

今回の修論では方程式の解を構成しましたが、その解の性質はまだよく分かっていませんので、parameter trickという手法を用いて解の時間変数に関する解析性を示そうというのが目的です。そういうわけで、12月中旬にはこの問題に取り組んでいました。んで、先輩からのアドバイスも参考に頑張っていたのですが、どうも解の解析性は時間変数だけでなく空間変数に対しても適用できそうだということに気づいたので、少しよい結果が示せそうです。時間変数の解析性についてはDenkの方法があり、これを参考にしたのですが、後日Prüss-Simonettの方法では時空間解析性を同時に示せていたのでこれを参考にしました。

 

解の存在では非線形項の双線形評価が本質的な結果であり、これを用いて修論を執筆したわけですが、解析性は方程式の摂動問題(方程式に摂動というちょっと余計な項を含めた問題)を解ければよいので、これには先と同じ双線形評価がフルに活用できます。そういうわけでこちらの問題は1週間ちょいで解決しました。よかった。論文も大体同じようにかけばよいので大体書き終え、一安心。

 

そういうわけで12月中にいろいろ終えられて、ゆっくりと年末を過ごしていました。自宅でゲームしまくったり暇つぶしになんかご飯作ったりと楽しくやっていたのですが、修論執筆だけではどうも卒業できないようで、1月もなかなか大変でした……

 

さて、1月上旬から休み気分を切り替え、いろいろと卒業までの準備をしました。まずは講義の課題を済ませます。講義の課題は1月末まで大丈夫なのですが、後述の理由により早めに済ませることにしました。修士ではそんなに講義数も多くなく(同大学院進学のため先取り履修制度でだいぶ学部4年のうちに履修していた)、課題はまあ比較的すぐに片づけられました。

 

さて、1月が大変だった理由は、修論の学術誌投稿、修論発表の準備、解析性の論文の修正、博士課程の出願、奨学金の申請、TAの仕事などいろいろなことをしなければならなかったからです。

 

修論の学術誌投稿について。もとより先生から今回の論文は学術誌投稿に値するということでがんばって英語で書きました。そういうわけで学術誌に投稿しようとしたわけですが、先生から「やり方は先輩に聞いてね~」と指示されいきなり修論を投稿することに!え、どうすりゃいいの!?

 

とりあえず投稿先は先生が指定してくれたものの、いきなり投稿といわれてもわけがわからなかったため先輩にいろいろ聞きながらなんとか理解しました。とりあえず投稿には投稿する論文のデータはもちろん、他にもCover Letterと呼ばれる書類を添付する必要があります。Cover Letterと調べると、外資系などの場合において、履歴書などと同封する自己アピールなどを記入した書類と出てくるわけですが、どうも先輩からはこの定型文で大丈夫だよと言われたので、少なくともこの界隈ではCover Letterはあくまで形式上の書類のようです。他にも投稿者の情報として氏名や住所(これは大学の住所でよい)、所属などを記入したり、論文のジャンル、基本情報などを指定して電子で送信。郵送の場合もあるようですが、電子はすぐに投稿できるので便利でいいですね。

 

もちろん投稿が完了しても学術誌に載るかは分かりません。査読者による査読(投稿した論文が学術誌掲載に値するかを審議)を経て、アクセプトされれば学術誌に載るようです。この査読期間は長いと1年以上かかることもあるようで、つまり論文を書いてから誰もが閲覧できるような状態になるまでそれだけの期間を要するということです。大変ですね。

 

ちなみに、論文の投稿時に担当する編集者を自分で決めることができます。編集者は論文に掲載するか否かの最終的な判断を担う重要なポジションであり、したがって慎重に選ぶ必要があります。しかし自分で決めるのはなかなか難しく、先生や先輩から指示をいただきました。一応編集者の専攻分野も確認できるので、そういった情報から決めることもできますが、編集者次第で学術誌に載るかどうかが決まるので、どうせならやさしい編集者を選びたいですよね……ここらへんは経験値の差が出るのかなと思います。なお、編集者と査読者は別で、編集者は選べても査読者は選べません。そして誰が査読したのかは分かりません。怖いです。

 

また、運悪くリジェクトされた場合は、残念ながら掲載はされませんので、また別の学術誌を探して再度査読してもらいます。もちろん1から査読することになるのでまた時間がかかります……大変です。

 

 

さて、次に修論の発表。やだなぁ……

 

修論は書いてなんとか早期修了の許可も得ましたが、まだ修論の単位自体をもらえたわけではありません。修論の単位をもらうためには修論の提出に加え発表をしなければなりません。修論発表は偉い先生方の前でがんばって15分発表を行い、その後5分間の質疑応答ラッシュを凌ぎます。このときHPが残っていれば勝利、殺されればゲームオーバーです。また、今回はコロナのため特別にZoomを使用するようです。

 

もちろん発表のためには発表用の資料、つまりスライドを用意しなければなりません。通常発表用スライドといえばpower pointによるスライドですが、どうもこの界隈ではBeamerと呼ばれる環境を使います。やはりTeXのソースに応じたスライドが作成できる点がよいのでしょうか?BeamerはTeX環境があれば簡単に作成できます。ただ使ったことがなかったので先輩の資料やアドバイスを参考になんとか作成しました。

 

いやはやこれがなかなか大変で、今回の修論の結果を15分にまとめなければなりません。当然スライドもできるだけ少なくするべく頑張る必要があります。先生からは理想は8ページといわれましたが、まあ無理ですね。11ページになりました。まずスライドに載せる内容としてタイトル、導入、先行研究、主結果は必要になります。あとは主結果の証明ですが、当然必要なら補題などを紹介します。これがどうやって8ページに収まるか?無理です。まあ今回は先生からまあそのくらいでいいでしょうと許可をいただいたので、これでいくことにします。

 

んで、当然発表練習も頑張ります。15分に内容を収めるのもなかなか難しいです。今回は自分でしっかり理解して論文を書いたので、別に修論の内容を発表できないということはないのですが、基本はカンペを読むことは推奨されないので、頭の中で内容をしっかり整理して15分に収める必要があります。また内容もただ発表するだけではダメです。例えばスライドに評価式を書いた際も「こういう評価が成立します」とか評価式をそのまま読み上げるだけとかではダメで、「こういう評価が成立しますが、ここでこの評価から〇〇の場合は××になることが分かります」とか「この評価は〇〇なら××ということを意味しています」など、相手にこちらの意図が効率よく伝わるようにうまく発表する必要があります。他にも「なぜこの条件が必要なのか?」「なぜこの補題を用意するのか?」「なぜこの場合は示せていないのか?」などの情報を添えて分かりやすく発表をするように頑張ります。先生からは「何を発表するのかではなく、何を削るのかを意識せよ」とアドバイスをもらいました。頑張ります。

 

一応何度か練習をしまして、時間はまあまあいい感じに収められてますが、まだいくつか分かりやすく発表できるポイントがあるようで、少しずつ改良を加えながら頑張ってます。ただまあ正直もう発表したいな……という気持ちでいっぱいです。早くこのもやもやした気持ちから解放されたい……

 

解析性の論文の修正について。先ほど述べたように12月中に解析性の論文を書きましたが、先生からいくつか指摘をされまして、それについて話し合いをしました。初めは空間変数の解析性がダメなのでは?と急に電話がかかってきてビビりましたが、なんとか後日話し合いをして大丈夫そうだということになりました。あの時はビビった……しかしながら、どうも空間変数の解析性ではどのBanach空間上で言えるか(だいたいは時間変数に関するL^{\infty} classで)に言及したほうがいいとの指摘を受けまして、後日詳しく議論して修正する予定です。

 

博士課程の出願について。修士課程を早期修了する場合は、前提として博士課程への出願が必要になります。そういうわけで出願するわけですが、これが1月中ということでわりとすぐバタバタしてました。早期修了での出願なので何か特殊な事情があるかな~といろいろ確認したかったわけですが、修論書くのが大変で、12月でやっと終わったと思ったらそこから年末年始は大学閉室で事務所にも尋ねられないということで、大学のホームページ等で調べてから書類を用意して、念のため出願前に確認。たぶん大丈夫だと思います。その他早期修了の場合は本来修士2年次で履修する研究授業+修士論文の単位を申請する必要があるらしく、ここについても事務所に確認。コロナで担当者不在ということで問い合わせフォーム等で確認し、なんとかなりました。結論からいうと今回は先生からの申請で大丈夫らしく、学生は何も手続きは必要ないとのことでした。ここらへんもどうなるかわからず少し緊張しながら手続きを行いました。先日博士面接の連絡がきたので、おそらく出願は受理されたかと思います。ふう……

 

奨学金の申請について。通常、博士課程の学生は学振(日本学術振興会)からの支援金をもらうべく、修士2年の段階でいろいろと書類を整えて、無事この申請が通れば博士課程入学と同時に支援金がもらえるようです。ただ、早期修了した場合はこのタイミングを逃してしまうので、学振への応募は1年遅れて申請が通れば博士2年から支援金をいただけるということになります。そこで、先生がその点を配慮していただいて、他の奨学金の紹介を行ってくれました。ただ、もちろん博士課程入学から博士2年までの間に受給されるということで、その申請書類を用意しなければなりません。締め切りが1月末ということで、急いで奨学金申請の書類を用意しました。書類には基本的な個人情報に加え、これまでの研究成果とこれからの研究計画を記入せねばなりません。学振も似たような書類をかかなければならないということで、いい練習だと思って頑張って書類を記入しました。これで無事通れば、学振申請までの1年間に受給を受けながら研究ができます。先生、ありがとうございます……

 

ちなみに学振に関しては、どうも申請の通過率は2割ほどらしく、かなり難関だそうです。また、博士入学時点の受給プランはDC1と呼ばれ、途中からのはDC2と呼ばれるようです。そしてDC2のほうがやや申請が難しいらしく、不安が残ります……大丈夫かな……

 

学振の申請は今回の奨学金とは比べ物にならないほど大変で、1~2か月ほどかけて書類を用意するようです。先ほどの研究成果、研究計画をより詳細に記述します。先行研究の紹介で具体的に論文を参照するなど、論文を書くレベルで苦労するようなので、大変そうです……とはいえ、学振に通れば、月20万程度の生活費と年間150万の研究費を支援してもらえるようです。数学の研究費って何に使うんだろうか……と思いますが、基本は学会などの出張費、そして数学書などの購入や、他にもプリンターやパソコンなどに充てられるようです。あとは研究のお手伝いとして研究補助者を雇うこともできるようです。要するに研究費からバイト代を捻出する、みたいな感じでしょうか。

 

最後にTAの仕事ですね。これまでにレポートの採点をしていたので、当然講義終了近くには最終レポートがあり、その採点です。普通に自分の講義の最終課題と時期が被るので、修論の発表準備その他もろもろと合わせてけっこう1月中旬は忙しかったです……

 

そういうわけで、さて修論が執筆できたからとゆっくり年末を過ごしてたら、けっこう1月中にも怒涛のタスクが残っており、まあまあ大変でした……ちなみに今はもうだいたい片付いたので、後は修論の発表準備を頑張るのみです。修論の発表が終われば晴れて解放!!……といいたいわけですが、そうもいきません。ヒィ……

 

修論の発表が終われば新たな論文に取り組みます。次はKeller-Segel方程式のparabolic-elliptic typeの考察です。今回はparabolic-parabolic typeでの考察だったため、これと同様の議論を行います。なお、parabolic-ellipticに関しては実は岩渕氏による先行研究(Global well-posedness for Keller-Segel system in Besov type spaces)があります。今回考えようとしているscale不変な斉次Besov空間上での解の存在です。ところがこの研究手法はmild solutionを介した証明であり、前に述べたようにこの場合では解の一意性classに時間変数の連続性くらいを課さないといけないため、maximal Lorentz regularityを用いた場合では一意性classに時間Lorentz class程度を課せば済む分だけ優位性があると思われます。そういうわけでこの解の存在証明と、また時空間解析性を示したいと思います。ちなみにその次の研究も予定がありまして、Euler方程式とのcouplingを考えようと思っています。Navier-Stokesとのcouplingは既に考えられているようですので、より難しいEuler方程式で考えてみることにします。

 

それから、なんとびっくりですが、講演の依頼をいただいたのでその準備もしなければなりません。修論の発表は15分間ですが、今回の講演は30分!!内容は修論と同じもの以外今のところは発表できないのでそのつもりでいますが、時間が増える分より詳細にスライドを作成し、また練習しなければなりません。まだまだ発表には慣れないので、とにかく頑張るしかなさそうです……ヒェ

 

この講演もZoomで行います。ドキドキで緊張しますが、他大学の学生も参加されるとのことで、もしかしたら自分の講演のクオリティ次第では他大学の学生や教授にいいアピールをできるかもしれないということで、なんとか好印象を持ってもらえるように頑張りたいです。

 

そしてその後は先ほど述べた学振の準備です。5月あたりに書類を出すということで、余裕をもって準備しておきたいです。申請通過率が2割程度しかないということで、何とかして頑張りたいです。これがもらえるだけでも今後の精神的な負担が軽くなると思うので、それまでに書類にかける業績を積んでおきたいと思います。頑張ります。

 

とまあそういうことでして、割とハードな感じになりそうです。まあいろいろあるとはいいましたが、別に徹夜するほど業務に追われているということでもないので、精神的な負担にさえ耐えられればたぶんなんとかなります。無理せず頑張ってよい博士スタートができればよいなと思っています。しかしそれにしても、修論発表したくないなぁ……